[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立研究機構(ANR)
元記事公開日:
2019/05/21
抄訳記事公開日:
2019/07/17

危機的状況でチーム管理に当たる医療専門家を訓練するためのバーチャル・リアリティ

La réalité virtuelle pour former les experts médicaux à la gestion d’équipe en situations de crise : le projet ANR VICTEAMS

本文:

2019年5月21日付国立研究機構(ANR)の標記発表の概要は以下のとおり。

大量の負傷者(テロ、自然災害など)が発生する複雑な危機的状況を管理するには、医療リーダーは(自らのストレスや感情をコントロールしながら)迅速に決定を下し、それらをチームに正しく伝達する必要がある。しかしながら、現在のトレーニング装置(マネキン、本格的なゲーム、実物大のシミュレーションなど)は、主に医療技術手順に焦点を当てており、制約があって高価であることが多い。ANRと軍事装備総局(DGA)が共同で資金支援する VICTEAMS プロジェクトのメンバーが補完的な仮想ツールを設計した。これは消防士、緊急要員、軍隊を訓練して、危機的状況で起こりうる混乱に対処し、チームワークに関連する非技術面の能力開発を目的としている。

  • リーダーのスキルを伸ばし、チームの非言語的な行動への注意を促す

リーダーの行動を定義し、救助者の典型的な行動をモデル化するため、また多様なレベルの困難を実行するために、人文社会科学(SHS)の研究が実施された。本プロジェクトの心理学者や人間工学者は、特に非技術的スキルの概念に疑問を持った結果、余りに多義的であると判断し、230件のスキルのコーパスを開発した。そのうち30件が技術的でないもの(リーダーシップ、コミュニケーションなど)として特定され、これら能力の養成を目的としたリーダーの任務の定義に資することとなった。

  • 多様でミスを誘う集団行動に専門家を立ち向かわせる

現場で見られる多様な集団的行動に適応できるように学習者を訓練するべく、プロジェクト・メンバーは計算認知モデルに基づいた自律的な仮想キャラクタを実装した。これら仮想の救助者は周囲の状態(犠牲者、環境)、チームの活動について断片的な知識を持ち、またそれぞれ独自の個性(例えばストレスに対してそれぞれ異なる反応をする)を持っている。彼らはリーダーの命令、自分の知識ベース、自分のプロフィールに従って、実行すべきオペレーション(モルヒネ注射、包帯など)を決定し、それゆえに間違いを犯すこともある。身体をベースとしたアニメーションと同時に運用されるモーション・キャプチャ・システムが、これらの挙動やオブジェクトとの間の相互作用を現実的に再現・アニメ化するために導入されている。

[DW編集局+JSTパリ事務所]