[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2019/06/26
抄訳記事公開日:
2019/08/13

BMBF環境イノベーションイニシアチブ:グリーン水素利用に関する研究を強化

Karliczek: Innovation ist Kern wirksamer Klimapolitik

本文:

カルリチェク連邦教育研究大臣は環境保護に関するイニシアチブを発表し、これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

カルリチェク大臣談:「研究、イノベーション、教育は効果的かつ信頼できる環境政策の中核的要素である。集中的な研究、イノベーション、教育なくして、気候目標を達成することはできない。削減目標とイノベーションのミックスが必要である。

経済活動方針は自然の限界に突き当たっている。経済的な繁栄、良い環境と競争力を確保するためには、「経済」について新たに考えなければならない、即ち、カーボンニュートラルを含む、新たな技術レベルの上に構築される循環経済についてである。

BMBFとして、また環境保護への貢献として、今後数年間、研究、イノベーション、教育を推進していく。今日、連邦閣議で決定された予算は、私とBMBFにそのための機会を与えてくれるものである。現政権中は、現在の予算計画に従い、持続可能性、気候およびエネルギーの領域におけるプロジェクトの助成に23億ユーロを支出する。これは2014-2017年の同分野における支出15億ユーロよりも約50%の増加となる。

現在、連邦政府は環境保護法を準備中である。BMBFは二つの方法で議論に関与している。私はシュルツェ連邦環境大臣と共に科学プラットフォームを設立した。このプラットフォームの中核となるのは様々な専門分野を幅広くカバーする、指導的な研究者たちからなる運営委員会であり、これは環境保護の重要なテーマについて評価を行い、連邦政府の環境保護計画およびそれに基づくプログラムの検討および継続の決定に関する知識をもたらすものである。

第二に、環境保護に関する研究・イノベーションのプログラムを提示した。具体的なプロジェクトは、二酸化炭素の回避、二酸化炭素の利用および転換、および大気からの二酸化炭素の回収等の取り組みである。

その中で特に水素の利用、いわゆるグリーン水素に関する研究を強化したい。グリーン水素とは再生可能なエネルギー源を利用して持続的に生産された水素である。例えば自動車、製造、暖房等に利用することが可能で、暖房は燃料電池を通じて行われる。これは石油、石炭および天然ガスを環境に優しい形で代替するものであり、将来的に大きな可能性を持っている。

CO2回避ポテンシャルは非常に大きい。例を挙げれば、天然ガスや石油から精製される「グレー」水素を気候に優しい「グリーン」水素で代替することができれば、ドイツの化学産業および石油精製産業だけでも、年間1,500万トンのCO2を削減できるということである。ドイツ産業全体では年間約1億9,000万トンのCO2を排出している」。

グリーン水素に関する具体的なイニシアチブ:

  • “Power-to-X“:グリーン水素製造の商業化
    BMBFは連邦政府のエネルギー転換に関するコペルニクスイニシアチブの枠組みの中で、今年9月にPower-to-X-Projectの第2フェーズを開始する。特に水素製造に重点を置くもので、大規模な、高効率、長寿命、安価な電気分解を市場に導入できるようにするものである。そのため今後3年間に3,000万ユーロを出資する。
  • 「独仏研究協力」:水素を日常的なものに
    ドイツの研究機関および企業は著名なフランスのパートナー機関と、グリーン水素を暖房に積極的に利用できるようにするための革新的な方法に関して研究協力する。2019年10月に4つのプロジェクトがスタートする。BMBFはこのために約450万ユーロを提供する。

BMBFは今後3年間に水素研究プロジェクトに約1億8,000万ユーロを用意する計画であり、これは過去3年に比べ倍増となる。

[DW編集局]