[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2019/07/17
抄訳記事公開日:
2019/08/27

飛躍的イノベーション機構初代理事長にラグーナ・デ・ラ・ヴェラ氏が就任

Rafael Laguna de la Vera soll Gründungsdirektor der Agentur für Sprunginnvationen werden

本文:

飛躍的イノベーション機構初代理事長任命にあたり連邦教育研究省(BMBF)はこれに関して概略下記のような報道発表を行った。

7月17日カルリチェクBMBF大臣およびアルトマイヤー連邦経済大臣は飛躍的イノベーション機構設立委員会の全員一致の推薦によりライプツィヒ生まれの起業家ラファエル・ラグーナ・デ・ラ・ヴェラ(Rafael Laguna de la Vera)氏を任命した。ラグーナ氏との交渉は直ちに行われる。

設立委員会は同機構の所在地として、ベルリン大都市圏を薦めているが、最終決定は設立委員会と将来の長官との合意に基づいて決定される。

カルリチェク大臣は、「委員会がラグーナ氏と共に優れた提言を行い、機構はラグーナ氏をトップとしてできる限り迅速にスタートし、ドイツのイノベーションに貢献したい。」と強調した。

アルトマイヤー大臣談:「ラグーナ氏をトップに迎えて、飛躍的イノベーション機構はドイツの飛躍的なイノベーションポテンシャルを高め、市場化に導くに違いない。飛躍的イノベーションは単にドイツで考案されるだけでなく、開発され、市場へもたらされる。それがドイツの将来の競争力および雇用の確保に繋がる」。

ラグーナ氏も、「こうした機構を設立するという使命は非常に将来性のある、魅力的なものであり、自分にとっても欧州の人道主義的な特徴を備えた、ビジネス指向のイノベーション創出という個人的なミッションの一貫になる」と推薦の喜びを語った。

同機構は“made in Germany“の画期的イノベーションのブレークスルーに資することが期待されている。目標とするところは、学界、研究界、経済界からの高度に革新的なアイデアによって、優れた製品やサービス、そして将来性のある雇用をドイツに創出することである。

飛躍的イノベーションおよびその振興を担う機構

飛躍的イノベーションとは、劇的な技術革新、全く新しいビジネスモデル、社会的変化に基づくイノベーションと定義される。飛躍的イノベーションは新しい市場を生みだし、劇的な変化を可能にする。すなわち利用者や消費者の行動に明確に見える変化と共にもたらされることが多く、そのため、破壊的あるいは劇的なイノベーションと呼ばれる。技術的な飛躍イノベーションの例としては、ドイツで開発された音楽データの保存および転送技術のmp3が挙げられる。これはレコード、カセット、CD等の伝統的な音響媒体を市場から駆逐し大きく変えた。

飛躍的イノベーションは大きな経済的ポテンシャルを有している。それを生み出すためには優れた科学と革新的な企業が必要である。ドイツはいずれも世界でトップの位置にいる。大きなポテンシャルをさらに拡大し、経済的な成果に繋げるためにはもっと必要なものがある、それは科学、ビジネス、社会における新しいトレンドへの感覚、創造的起業家的思考や行動、国境を越えて協力できる能力、リスクを取る勇気と失敗を恐れないことである。そのために新たな飛躍的イノベーション機構がある。

この新たな組織によりこれまでドイツで類を見なかった、劇的なイノベーションを振興するためのアプローチが実行される。研究開発からの高度に革新的なアイデアは新たな付加価値を可能にし、大きな社会的利益をもたらす。

従って同機構の重要な使命は、学界および産業界における開発状況を観察し、ラディカルイノベーションへのポテンシャルを評価することである。競争の原則に従い従来とは異なる助成の枠組みを通じて、新たなポテンシャルやこれからの「主役」を明確化する。多数の研究シーズから、旧来のビジネスモデルに完全に取って代わる全く新しいものを取り出していくことが重要となる。具体的なテーマが確認されれば「プロジェクトGmbH(有限責任会社)」を起こして助成する。最長5年の助成期間で、有望なGmbHには権利譲渡し、会社として独り立ちさせる計画となっている。

飛躍的イノベーション機構自体も、ドイツ連邦共和国が出資する法人(GmbH)、である。同機構は当面10年の存続期間が計画されており、その資金は現在のところ約10億ユーロである。トップには2名の役員が置かれ、学界、経済界、政界、社会団体の代表によって構成される取締役会が置かれる。従業員については、最大50名でスタートすることになっている。

本部はベルリンが有力で、全国に分散する機構の姉妹会社に位置づけられる「プロジェクトGmbHs」との連絡拠点となる。

編集部注:これまで、Agency for Sprung Innovationの原文に忠実に「飛躍的イノベーション庁」と訳してきたが、法人の性格上「機構」が適切な訳語であり、今後「飛躍的イノベーション機構」と標記する。

[DW編集局]