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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2019/07/02
- 抄訳記事公開日:
- 2019/08/28
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欧州委員会がHorizon 2020の最終年度となる2020年度予算計画(110億ユーロ)を発表
- 本文:
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2019年7月2日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。
ECはこのほど、EUの研究・イノベーション・ファンディング・プログラムHorizon 2020の最終年にあたり、最後で最大となる年間予算(110億ユーロ)の支出方策を発表した。
Horizon 2020は、2014~2020年の期間に770億ユーロを研究イノベーション・プログラムに投資するもので、欧州の卓越した科学を支援し、太陽系外惑星の発見、ブラックホールの初めての画像、エボラのような疾患に対する高度なワクチンの開発など注目度の高い科学的ブレークスルーに貢献している。
ECはこの度 Horizon 2020 の 2020年度予算計画を発表した。来年にかけてECは、気候変動、クリーンエネルギー、プラスチック、サイバーセキュリティ、デジタル経済といった数は少ないが非常に重要なトピックに焦点を当てることで、研究ファンディングのより大きな効果を狙う。また次期枠組プログラムであるHorizon Europe(2021~2027年)の準備をすることで、今後の研究・イノベーションの展望を描こうとしている。Horizon Europe での大きな新規性は欧州イノベーション会議(EIC)である。EICは、科学を新規事業に転換し、企業の規模拡大を促進する、イノベーション・ファンディングのためのワンストップ・ショップである。EICはすでに試行段階にあり、2020年には12億ユーロの予算の配布を受ける。
● 政策優先課題に重点を置く
今回のワークプログラムでは次の領域で2018~2020年の予算と欧州委員会の政策優先課題を支援する。
- 低炭素で気候変動に強い未来:37億ユーロ
- 循環型経済:10億ユーロ
- 欧州の産業やサービスのデジタル化と変革:18億ユーロ
- 安全保障同盟:10億ユーロ
2020年には、伝統的なエネルギー集約型であるセクターを、競争力のある低炭素で循環型の産業に転換し、環境負荷を大幅に削減するプロジェクトに、2億6,000万ユーロが割り当てられる。低炭素で気候変動に強い未来に向けた推進策の一環として、欧州の次世代電池の開発・生産の支援に1億3,200万ユーロが充てられる。プラスチックに関する10件の新テーマには1億3,500万ユーロが充てられ、様々な形でEUプラスチック戦略に貢献する。今日最もブレークスルーが期待できる人工知能(AI)には3億9,600万ユーロが、サイバー犯罪との闘いと防止に必要な新規能力の開発には1億1,600万ユーロが割り当てられる。
● 「既成概念にとらわれない」研究を後押し
同時に Horizon 2020 では(「ブルースカイ」科学とか「フロンティア」研究と呼ばれる)好奇心駆動型科学のファンディングを引き続き行う。このほど採択された欧州研究会議(ERC)の2020年次ワークプログラムでは、22億ユーロを超える資金で優れた研究者を支援する。マリー・キュリー・アクション(Marie Skłodowska-Curie Actions)(MSCA)は、あらゆる段階のキャリアにある研究者に対するフェローシップの基金となるもので、総額で10億ユーロを超える増額を受ける。
● 国際協力の強化
今回の最後のワークプログラムではまた、研究・イノベーションにおける国際協力を強化する。2020年には相互に利益のある領域の協力旗艦事業に5億5,000万ユーロ強を投資する。例としては、世界の保健・食料・栄養安全保障についてアフリカと、クリーンエネルギーについて米国、カナダ、日本と、食料生産、バイオテクノロジー、エネルギー、天然資源、都市化について中国との協力などがある。
●Horizon Europeへの橋渡し
ECは欧州イノベーション会議(EIC)の第1段階を開始した。3月に発表されたEIC促進パイロットでは、助成金と株式を組み合わせた資金調達モデルをテストして、次期EU研究・イノベーション枠組プログラムHorizon Europeにおける本格的なEICに向けて道を固める。
Horizon Europe の予想される構造と内容を見越して、2億900万ユーロで食料と天然資源に対する施策を一体化する。競争力があり低炭素の循環型産業などの学際的課題に対する分野横断的な公募を通じて、共同創造の方式やアプローチが試験される。
[DW編集局]