[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
議会科学技術評価局(OPECST)
元記事公開日:
2019/07/18
抄訳記事公開日:
2019/10/07

OPECSTの科学ノートNo.18(量子技術:量子暗号技術と耐量子暗号技術)

Technologies quantiques : cryptographies quantiques et post-quantiques

本文:

2019年7月18日付の議会科学技術評価局(OPECST)の標記OPECST科学ノートNo.18から抜粋して以下に記す。

概要

  • 地上又は衛星の通信は我々の社会の中で重要な位置を占め、交換されるデータの安全を確保し攻撃から保護するために、効果的なツールがここ数十年で開発されている。
  • ただし、量子コンピュータとその潜在的な計算能力は、これらの方法で暗号化されたデータに脅威をもたらし、記録的な短時間で解読できる可能性がある。
  • この脅威に対処するべく、2つの補完的な主要技術が開発されている。1つは、通信プロトコルを暗号化するための新しい数学的概念に基づくポスト量子的暗号技術であり、もう1つは、量子物理学の特性を使用して情報転送の安全を確保する量子暗号技術である。
  • 量子コンピュータの出現が中期あるいは長期の時間軸で起こる場合に備えて、各当事者は(特に戦略的課題や主権の問題に対応するべく)上記の新しい暗号化プロトコルへの移行を予定する必要がある。

今後の展望

現在のデータ・セキュリティのアルゴリズムに対する量子コンピュータの脅威に直面して、2つの主要な移行軸が用意されている。プロトコル暗号化の基礎となる数学的問題を研究する目的のポスト量子的暗号技術、そして情報の物理媒体を変更して新たな量子技術を使用する量子暗号技術である。上記脅威が早くて中期的又は長期的であるとしても、この2つの技術は課題の大きさに応じた計画・改善を必要とする。少なくとも今日と同等品質のデータ・通信のほぼ完ぺきなセキュリティの確保などである。この2つの移行軸にはまだ何年もの研究開発が必要であるが、この避けられない展開に対しては、国家の戦略的選択が今こそ必要とされる。

[DW編集局+JSTパリ事務所]