[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2019/10/09
抄訳記事公開日:
2019/11/27

ドイツ連邦閣議が地球温暖化対策を決定

Karliczek: Erst Forschung macht ambitionierten Klimaschutz möglich

本文:

10月9日ドイツ連邦閣議が決定した包括的な地球温暖化対策、「気候パッケージ」に関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

カルリチェクBMBF大臣は以下の通り声明を出した:

「気候パッケージによりドイツの温暖化対策において、新たな章が開かれる。今後は発電および発熱においても温室効果ガスの排出を有料化することで、産業界や消費者が将来進む方向が決まるだろう。このような制度はこれまでなかったものであり、批評家も高い評価をするであろう。

この新たな措置には全ての市民を取り込むことが肝要だからこそ、注意深く政策を進めて行く必要がある。重要なのは、気候パッケージにおいては地球温暖化対策の道筋を厳守し、最終的に達成目標を守る正確なコントロールが定められている、ということである。

BMBFはパッケージの基盤の上に、新しい、環境に優しい技術の開発を一層強く前進させていく。気候基金だけで、2023年までに3億6,000万ユーロが追加配分される。

この基金により、特にグリーン水素について集中して研究を進めていく。グリーン水素、即ち太陽や風力によって生産される水素は、未来のエネルギー源として期待されている。グリーン水素は気候に関する目標達成のための鍵となる要素である。それは再生可能エネルギーをあらゆる生活領域へと運ぶものである。鉄鋼、化学、船舶、航空、熱利用も、グリーン水素によって気候ニュートラルのための新たな可能性を得る。

BMBFはこの未来分野における研究を今後数年に大幅に拡大していく。既にグリーン水素研究に対し2021年まで1億8,000万ユーロの投資を予定しており、さらに、気候基金から3億ユーロ以上増額される。これによって国家水素戦略に命を吹き込む。」

背景:

気候パッケージは地球温暖化対策プログラム2030および連邦気候保護法を包括する。BMBFは合計15の研究開発プログラムをもってこれに関わっている。研究とイノベーションは、ドイツが自ら掲げた2030年までと、それ以降の目標を達成するための前提である。これにより、地球温暖化対策に関する研究は、技術的、社会的イノベーションの原動力となる。

グリーン水素に関する研究と並び、産業における温室効果ガス排出を回避するための新たなコンセプトや技術開発が重要となる。製鉄、セメント製造あるいは化学といった基幹産業も、国際的競争力を維持するためにグリーン水素の貢献が期待されている。温室効果ガスのほぼ8%はこうした基幹産業のプロセスに起因している。

地球温暖化対策およびエネルギー効率化において、重要な役割を果たすのがドイツの中小企業である。中小企業はドイツにおける雇用とイノベーション中心と見なされており、革新的中小企業を支援する助成プログラムは、これらの領域で拡大される。自動車、農業、情報通信技術等の領域においても大きな寄与をもたらすだろう。

水素技術において、BMBFは製造、運輸等の技術融和的で高度に革新的な様々なアプローチを助成している。焦点となるのは電気分解、メタン熱分解、人工光合成、燃料電池等である。

BMBFは、欧州および世界で戦略的水素パートナーシップを構築していく。グリーン水素はShipping the sunshine(太陽光を輸出する)というモットーの下、ドイツの新たな輸出製品となるだろう。

[DW編集局]