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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国立科学財団(NSF)
- 元記事公開日:
- 2019/12/11
- 抄訳記事公開日:
- 2019/12/12
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NSFが「基礎研究の安全保障」に関する報告書を発表
Open international research collaboration essential, must have safeguards, independent report finds
- 本文:
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2019年12月11日付けの国立科学財団(NSF)による標記記事の概要は以下のとおりである。
国際的な研究協力をオープンかつ安全に保つための取り組みの一環として、NSFは、科学諮問グループJASONに調査委託した報告書「基礎研究の安全保障」を発表した。
何十年もの間、米国の機関は、基礎研究における開放性、透明性、国際協力を促進するために取り組んできた。しかしながら、今日、少数の外国政府は、これらの価値を支持することなく、グローバルな研究エコシステムから利益を得ようとしている。その戦術には、受給者に虚偽の行動やグローバル規範の回避を要求する人材採用プログラムが含まれる。
NSFおよび他の連邦政府機関は、問題の明確化に取り組んできた。今回のJASON調査により、4つの主要なテーマが浮かび上がった。
- 米国の外国人科学者の価値と必要性
- 基礎研究へのアクセスに新たな制限を設けることの重大な負の影響
- コミットメントと利益相反の開示を含めるために、研究公正の概念を拡張する必要性
- 開放性を維持し、STEM人材のグローバル市場で成功しながら、基礎研究における米国の利益を最大限に保護する方法についての、学術機関と政府機関間の共通理解の必要性
同報告書は、これまでに特定された外国の影響に関する問題は、研究公正の枠組み内で対処できるとし、以下を勧告している。
1.研究公正において期待される範囲は、研究へのコミットメントおよび利益相反の完全な開示を含むよう拡大されるべきである。
2.コミットメントおよび利益相反の不十分な開示は、研究公正の推定違反として、現行の科学上の不正行為に対する扱いと同様にNSFおよび大学によって調査および裁定されるべきである。
3. NSFは、研究公正を維持するためのすべての利害関係者の責任が明確に述べられ、承認され、採用されるよう、NSFの資金を受ける大学等をはじめ、学会、出版社との協力を主導するべきである。また、これらの責任と他の連邦研究資金機関の責任との調和が奨励される。
4. NSFは、研究協力、および非連邦政府の助成金や研究契約に関する研究公正上のリスク評価を支援するプロジェクト評価ツールを採用し、すべての利害関係者に広めるべきである。
5.基礎研究を行う大学等での科学倫理の教育と訓練に、従来の研究公正の問題を超えて、利益相反とコミットメントに関する情報と事例を含めるべきである。
6. NSFは、国家安全保障決定指令(NSDD-189)の原則が、基礎研究が可能な限り制限されないことを明確にし、基礎研究の中間境界としての新たな非格付け情報(CUI)定義の適用を抑制していることを再確認し、支持するべきである。
7. NSFは、インテリジェンス機関や司法当局と連携して、学術機関の幹部と教員に、基礎研究における外国の影響に関する問題の規模と範囲をエビデンスに基づいて説明するとともに、他の政府機関に対し、外国の研究者と共同研究が米国の基礎研究に不可欠であることを伝えるべきである。
8. NSFは、米国内の外国人研究者のコミュニティとさらに連携して、国内および世界的に基礎研究の開放性と透明性を促進する取り組みへの協力を得るとともに、彼らのつながりから米国にとって最高の科学人材を見出し、惹きつけ、確保するべきである。
9. NSFおよび関連する政府機関は、他の機会がより困難になったとしても、生じうる新たなエンゲージメントの機会を活用して、世界のトップレベルの科学・工学人材に対する競争力を維持するための戦略計画を策定し、実施するべきである。 [DW編集局+JSTワシントン事務所]