[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2019/11/05
抄訳記事公開日:
2019/12/25

2019年度研究環境に関する合同委員会(JCORE)ホワイトハウス・サミットの概要

Summary of the 2019 White House Summit of the Joint Committee on the Research Environment (JCORE)

本文:

2019年11月5日付で国家科学技術会議(NSTC)が発表した標記報告書の概要は以下のとおりである。

ホワイトハウスはこのほど、NSTCの「研究環境に関する合同委員会(JCORE)」の進捗を議論するサミットを開催した。JCORE は統合的なアプローチに重点を置いており、さまざまなセクターの研究環境における、安全性、公正性、生産性、安全保障の向上を目的とした政策提言や実施基準の策定を行う。サミットは、透明性、公正性、作業負荷、調整の4つのテーマ別セッションに分かれて行われた。

サミットにおける主要な結論

透明性(Transparency)

  • 連邦政府は、研究機関と協力して、安全保障上の懸念に関する意思疎通のための、透明で双方向のシステムを構築し、教育リソース(FBIの解説資料など)へのアクセスを促進して研究機関内での十分なリスク情報に基づいた考慮や判断を推進する必要がある。
  • 連邦政府は、研究の安全保障や不適切な行為に関連する事例など、多数の情報を提供する必要がある。
  • 情報共有は不可欠であり、研究界(産業界、学界、政府機関、非営利団体を含む)全体で取り組む必要がある。その際、プライバシーその他の制限の重要性を認識する必要がある。また、必要に応じ適法な範囲で、進行中または未完の当局調査に関する情報の共有メカニズムも合わせて考える必要がある。
  • 安全保障、ハラスメント、不正行為に関連する申し立てを調査するプロセスに関しては、透明性が必要である。
  • 機関によるハラスメント関連の調査データの共有は、透明性の促進のほか、文化や行動の好ましい変化に寄与する。
  • 基礎研究から技術応用に至るまでの道筋に沿った成功には、多くの場合、複数の研究グループや国境を越えた自由な交流が必要である。
  • 科学は研究データのオープンアクセスの恩恵を受けるが、適切に管理されたデータの維持やアクセスに関連して、保存やコストに制約がある。またデータへのアクセスの維持・提供に関する役割・責任については、解決すべき問題が残されている。

公正性(Integrity)

  •  公正性の文化は、政府機関や研究機関のトップから模範を示す必要がある。
  • 研究機関には、経済的および国家安全保障上のリスク評価に役立つ連邦政府の枠組みが必要である。
  • 研究機関には、外国組織との協力提案の諾否を判断し、研究スタッフに連邦政府の研究開発ファンディングの適格性に影響する可能性のある状況について助言できるための情報が必要である。
  • 政府、学術界、産業界の共同研究の活用強化は、データの再現性を高める上で大きな可能性を有する。
  • 研究機関は、主要目標として、ハラスメントその他の不適切な行動に関する報告が最大限にされるように取り組む必要がある。この場合、(個人による報告を妨げることの多い)報復の脅威に対処する必要がある。
  • ハラスメント、研究セキュリティ上の脅威、研究の厳密性・公正性に関する取り組みでは、機密性の問題に対処する必要がある。機密性は、合法かつ適切な場合は常に保護する必要があるが、効果的な行動の障害になると見なされる場合もある。
  • 複数の指導者の下で研究を行う機会を研究者に提供することが、研究環境における負のパワー・ダイナミクスへの対処に役立ち、不適切な行動の報告をするリスクを減らすことに役立つ。
  • 安全保障の検討に当たっては、価値と具体的な挙動に焦点を合わせる必要がある。確立したリスクに関する明確で詳細な情報の周知は、プロファイリングに関する懸念の軽減や包摂的な研究環境の推進に役立つ。
  • 開示ポリシーを策定または実装する場合、政府機関・研究機関は自己申告の促進に資するべく、猶予期間の取り込みを考慮する必要がある。

作業負荷

  • 共通のフォームやシステムを確立することで、事務作業の負荷を軽減できる。
  • 永続的なデジタル識別子を標準として採用することで、連邦政府の研究開発助成プロセスに関連する事務負担が大幅に軽減される可能性がある。
  • 連邦政府の助成金申請プロセスでは、一次審査を研究のメリットの確認に限定すべきである。応募資格要件は、メリット審査後に事務局により審査可能である。

調整

  • OSTPは、JCOREの重点領域全体で政策を同調させる必要がある。
  • 連邦政府の政策では、必要に応じて、研究機関が要件を順守する方法について柔軟性を認めるべきである。
  • 連邦政府は、学術団体の活動を活用して、中核的な課題(利益相反、普遍的開示など)に共通の解決策の形成を支援する必要がある。
  • チャレンジ・コンペティションを活用することで、開示その他のコンプライアンス要件を調和させるツールの開発が可能である。
  • NSTCは、必要に応じて、調和の取れた効果的なポリシーや要件に対する立法上の障害を議会に通知する役割を果たす必要がある。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]