[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立農学研究所(INRA)
元記事公開日:
2019/10/25
抄訳記事公開日:
2020/01/07

AllEnviによる海面上昇の影響に関する将来展望報告書の発表

« Les conséquences de la montée du niveau de la mer » : Publication du rapport prospectif de la recherche française pour l’environnement

本文:

2019年10月25日付国立農学研究所(INRA)の標記発表の概要は以下のとおり。

世界の人口の20%が海岸から30 km以内に住んでおり、その多くは沿岸都市に住んでいる。沿岸地域には、生態系と脆弱な土地の両方があり、人口と経済活動が集中している。したがって海水面の上昇は、最も重要な研究課題の1つであり、政策立案者にとってもそうであるはずである。住民と環境に対するこの現象の直接的(浸水、洪水) および間接的な影響は深刻である。

今世紀における海面の上昇は避けられない。海洋に関する最近のIPCC特別報告書によると、気候に関するパリ協定にも関わらず温室効果ガスの排出量が現在の割合で増加し続けると、海面上昇は2100年までに60~110 cm に達する可能性がある。現在の科学的知識で、この現象の結果を予測することが既に可能である。

このほど発表された海面上昇の影響に関する AllEnvi(環境分野の全仏研究連合)の将来展望報告書では、2100年までに最も可能性の高い海面上昇シナリオの範囲で、人口統計学、都市化とインフラ、環境と天然資源、食糧安全保障、食料、沿岸経済、統治の観点から考えられる影響を調査している。

その影響は、海面上昇の象徴的犠牲者である多くの太平洋諸島のような発展途上国や小さな島国だけに及ぶものでは決してない。2万キロメートルの海岸線に囲まれ、世界第2の海域を擁するフランスは、海外領土だけでなく、特に影響に晒される大都市圏でも大きな影響を受ける可能性がある。

AllEnvi の専門家が想定するシナリオによると、2040年までにグローバルなレベルで自発的に調整された公共政策が存在しない場合、深刻な事態が発生し、制御不能になる可能性がある。

[DW編集局+JSTパリ事務所]