[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)
元記事公開日:
2019/11/21
抄訳記事公開日:
2020/01/28

1周年を迎えたイノベーション審議会

Le Conseil de l'innovation fête ses 1 an !

本文:

2019年11月21日付高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)の標記発表の概要は以下のとおり。

イノベーション審議会はこのほど1周年を迎えるにあたり、各主要課題のプログラム・ディレクターに対して、新たなイノベーション支援方針および今後の優先事項を示すことが可能となった。

● イノベーション審議会(CNI)

2018年7月18日に設立されたイノベーション審議会(CNI)は、フランスのイノベーション政策の戦略的優先事項を設定する。この審議会は、フランスと欧州の両方のレベルで、今後のイノベーションの柱となるイニシアチブや機構の出現を可能にする。また経済・財務省と高等教育・研究・イノベーション省の共同運営組織であるCNIは、イノベーション政策のガバナンスを、①有識者を関与させる、②意思決定や運営の形式において各省政策間の調整を促進する、という点で変革する狙いがある。

CNI は次の機能を果たす。

  • イノベーション政策の有効性を高め、イノベーション支援環境を簡素化する方策を決定する。
  • フランスにおける画期的なイノベーションの出現とそれらの産業化を促進するべく、イノベーション政策に特化した財源に関する勧告を行う。
  • イノベーション・産業基金による資金支援対象となる主要課題の選択を行う。

● イノベーションと産業のための基金(FII)

2018年1月15日に創設されたイノベーション・産業基金は、エンジー(Engie)社と ルノー(Renault)社の資産譲渡(16億ユーロ)およびフランス電力(EDF) 社と タレス(Thalès)社からの株式での持ち寄り(約84億ユーロ)により、100億ユーロの資金を確保した。進行中の Française des Jeux(フランス宝くじ公社)の民営化により、FII の財源強化が図られる。これらの資産は、年間2億5000万ユーロの収益を生み出す。

フランスのイノベーション・エコシステムの長所と短所を診断し、広範な利害関係者と協議した結果、政府はこれらの資金を次の3つの主要な分野に割り当てることを決定した。

  • CNI が選択した主要課題の資金として、年間1億2,000万ユーロ
  • 公的研究由来の技術集約型スタートアップの出現の支援に、年間7,000万ユーロ
  • 電気自動車セクター向けのマイクロエレクトロニクスおよびバッテリーの主要産業計画に、年間6,000万ユーロ。

● FII により資金支援(それぞれ最大3,000万ユーロ)を受ける5件の主要課題

  • 人工知能により医療診断を改善する方法
  • 人工知能を使用するシステムのセキュリティ確保、認証、信頼性確保方法
  • 長期に亘ってサイバー攻撃に耐えうる耐久力をシステムに持たせるべく、サイバー・セキュリティの自動化を図る方法
  • 付加価値の高いタンパク質を生物学的に低コストで生産する方法
  • 「化石燃料ゼロ」の移動手段確保に必要なエネルギーの高密度貯蔵

[DW編集局+JSTパリ事務所]