[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2019/12/06
抄訳記事公開日:
2020/02/04

新スーパーコンピュータ「リーゼ」と「エミー」稼働

Neuer Supercomputer gestartet: „Lise“ und „Emmy“ rechnen für die Spitzenforschung in ganz Norddeutschland

本文:

北部ドイツの大学、研究機関のためのスーパーコンピュータ(HPC)が運用開始されることになり、連邦教育研究省(BMBF)はこれに関して概略下記のような報道発表を行った。

12月6日北部ドイツ高性能・最高性能計算アライアンスがスーパーコンピュータHLRN-IVの運用を開始。3.000万ユーロのAtos社のシステムは、25万コア、最高性能16PetaFlop/sで、世界最高のコンピュータの一つに数えられる。

ベルリンとゲッティンゲンに置かれるHPCの二つのコンポ-ネント「リーゼ」と「エミー」は北部ドイツ7州の120大学および170研究機関のニーズに応じて複雑な計算を行う。物理学者Lise Meitnerと数学者Emmy Noetherに因んで名付けられたものである。HLRN-IVの資金はBMBFが50%、参加各州が50%負担する。

BMBFルーカス事務次官談:
「優れた研究には優れた環境が必要である。ドイツは高性能計算において指導的役割を果たしている。ドイツのあらゆる専門分野の研究者が世界最高の計算機にアクセスすることができる。これは連邦と州の共同の取り組みであり、未来への有効な投資である。これによってLise MeitnerおよびEmmy Noetherのようなドイツの先端研究者の偉大な伝統を継続するとともに、未来の先端研究を可能にしていく。この二機のHPCは社会のためになる重要な科学的知識によって多くの成果をもたらすと期待している」。

背景:
HPCの応用例

現代科学はHPCなしには考えられない。気象、気候および環境の保護、効果的な医薬品の開発あるいは新素材の開発等、現代の喫緊の課題への答えを見つけ出す上で大きな助けとなる。アカデミアと産業界は、実験するには危険過ぎたり、速すぎたり、費用が高すぎるあるいは全く不可能とみられるプロセスをシミュレーションするために大規模な計算能力を必要とする。

医薬品研究においては、ツーゼ研究所、ベルリン自由大学、シャリテベルリン医科大学の数学者、化学者、医学者から構成されたチームが、高度に効果的な新しい鎮痛剤をコンピュータだけで開発することに成功している。HLRNで数学的モデルを基に、複雑なシミュレーションを行い、アヘン剤に含まれる鎮痛剤分子がどのように身体に作用するかを予測することに成功した。シミュレーションでは、将来劇的な副作用を避けるためにフェンタニル分子を変化させなければならないことが認識された。シミュレーションは有効で、現在新しい薬が臨床試験されている。

HPCの事業者:HLRNアライアンス
ドイツでは類を見ない高性能・最高性能計算HLRNアライアンスは2001年から存在し、ベルリン市、ブランデンブルク州、ブレーメン市、ハンブルク市、メクレンブルク・フォーポンメルン州、ニーダーザクセン州、シュレーズヴィッヒ・ホルシュタイン州よって運用されている。HLRNアライアンスは、ツーゼ研究所およびゲッティンゲン大学を拠点にドイツの科学および研究用分散HPCとして稼働している。アライアンスの目標は最高性能計算のさらなる開発および利用と、研究および科学における競争力向上のための州間協力の強化である。

ドイツにおける高性能計算
ドイツのHPC環境においてHLRNアライアンスは例外的な役割を担っており、7州120大学および170以上の研究機関の科学的なニーズや関心に結束して対応している。このためHLRNアライアンスは、科学のためのみならず、高性能計算そのものが研究の対象となるような付随する学際的なプロジェクトのためのツールとしての計算能力を提供している。今日、先端研究に不可欠な、計算およびデータ集約的な利用が可能となっている。

[DW編集局]