[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州議会
元記事公開日:
2019/12/11
抄訳記事公開日:
2020/02/05

MFF:欧州委員会の計画 EU理事会議長国フィンランドの提案では実施不可能

MFF: Commission’s plan “impossible to implement” with Finnish proposal

本文:

2019年12月10日付欧州議会の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州議会(EP)の交渉チームにとって、EU理事会議長国フィンランドによるEU次期長期予算に関する予備提案は、「欧州連合を破綻させる」ものである。

12月の初めに、議長国フィンランドは、2021〜2027年の複数年次財政枠組(MFF)と独自財源に関する「交渉草案文書(Negotiating box)」を配布した。欧州委員会(EC)の提案から19か月後、欧州議会(EP)の立ち位置の採択から1年後に提示された上記交渉草案文書は、理事会の今後の議論のために、次期MFF予算総額として1兆870億ユーロ(EUの国民総所得(GNI)の1.07%)という暫定的な金額を初めて示した。

ECが提案した2021~2027年の予算案(EUのGNIの1.11%)は、現在のMFF 2014~2020年(英国を除外)の1.16%に比べてすでに減少しており、欧州の結束基金と農業支援に対する大幅削減を伴っている。昨年そして今年10月の二度にわたり、議会はこれらの削減を否決し、若年者、研究・イノベーション、環境・気候変動、インフラ、中小企業、デジタル化、社会的権利の領域での主要プログラムの予算増を求めた。

フォンデアライエン氏が率いる欧州委員会の活動開始初日の議長国フィンランドによる提案には、適正移行基金(Just Transition Fund)、Erasmus+の予算3倍増、欧州子供保証など、新委員長が発表したイニシアティブに対する追加ファンディングは全く含まれていない。

それどころか、議長国フィンランドは結束政策に対する予算を大幅に削減している。次期MFFの規模をさらに縮小するために、欧州の明らかな付加価値領域や熾烈な国際競争領域(研究、エネルギー、デジタル、宇宙)、EUが新たな任務を課せられている領域(移民、対外政策、安全保障・防衛)、さらにはEUの目標達成の確保を期待されている行政組織にまで狙いをつけている。

議会の交渉チームは12月10日に、MFFに特化した総務理事会に先立ち、議長国フィンランドと会合を持つ。その翌日、フォンデアライエン欧州委員会委員長は、欧州議会の臨時議会に対し「グリーン・ディール政策」を発表する予定である。12月12日、欧州理事会は気候問題とMFFの両議題について会合を持つ。

[DW編集局]