[本文]
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- 国・地域名:
- ロシア
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ロシア大統領府
- 元記事公開日:
- 2019/12/19
- 抄訳記事公開日:
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プーチン大統領の2019年年次記者会見
- 本文:
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2019年12月19日付ロシア大統領府の標記発表では、プーチン大統領による年次記者会見における質疑応答の模様を報じている。プーチン大統領の回答の中から、科学技術・イノベーションに関わる部分を抜粋要約して以下に記す。
● 気候変動対策について
ロシアはパリ協定に参加している。実際にはもっと早期にこれを実行する意向を表明していたが、今年政府の決議採択を受けて正式決定となった。基準年の1990年と比較して25〜30%の削減に言及している。これはEU加盟国を含む全ての国が行っていることである。
上記の「基本数値」を100%として、30%を引くと、残りの数値は70%になり、森林の吸収能力を考慮すると、最終的な数値は基本数値の60%になる。これが第1の論点である。
第2の論点は、ロシアは世界最大の汚染国ではないこと。国連によれば、最大の汚染国は米国と中国(各々、排出量の16%)で、EU(11%)、ロシア(6%)、インド(5%)である。パリ協定は、世界の気温の上昇を1.5%に制限する努力を求めている。実際のところ気候変動の原因、少なくとも地球規模の気候変動の原因は誰も分かっていないので、これを協力して達成できるかどうかは分からない。
我々は、地球の歴史において温暖化と寒冷化の期間があったことを知っている。しかもそれは宇宙のグローバルなプロセスに依存する可能性もある。地軸と地球の太陽周回軌道とのわずかな傾きが、地球上の非常に深刻な気候変動につながる可能性があり、すでに生じている可能性もある。
人類が気候変動にどのような影響を及ぼすかを正確に解明することは、不可能ではないにしても、非常に困難である。しかし我々には怠慢は許されない。気候の劇的な変動を防ぐために最善の努力をすべきである。
ロシアにとってこのプロセスは非常に重要である。ロシアの気温は地球平均の2.5倍の速さで上昇している。ロシアは北国であり、領土の70%が北緯に位置する。ロシアの都市の一部は北極圏の永久凍土の上に建設されている。解凍し始めたら、それがどんな結果をもたらすか想像でき、大災害をもたらす。さらに一部地域では温暖化が進んでおり、特定の地域で砂漠化につながる可能性がある。
気候変動はまた、山火事、洪水などの多様な自然災害増加の原因でもある。そういうわけで、このような変動の影響を最小限に抑えるための取り組みを引き続き積極的に行っていく。
● 国防産業競争力の支援・開発について
重要なことは、これを維持しているだけでなく、最新の科学技術の発展に合わせて非常に迅速かつ強力なペースで進歩していることである。
この領域で最初に実行したことは、製造基盤のグレードアップであった。この業界のグレードアップに約3兆ルーブルの巨額を割り当てた。その結果、この基盤の上に実際に新しい設計による最先端の武器システムを開発した。
現在の重要な問題の1つは、国防産業の債務負担である。数十億ルーブル規模の問題である。政府、中央銀行、株主(国防産業企業や政府担当官を含む)が現在、この問題の解決に取り組んでいる。これは国防産業で働く人々にとっても、経済全体にとっても大きな問題である。国防産業はある意味でハイテク産業の推進役であるからである。
● 人工知能技術開発競争におけるロシアの立ち位置
一般的にはロシアにも競争上の大きな利点がある。高度の数学教育とそれに関連するすべて(数学に基づくデジタル技術など)である。これらの利点を活用できれば、技術的な問題は少なくなる。
人工知能の最新の概念はまだ開発途上にある。人工知能にはいくつかの定義があり、最高のものは自発的に発達する、いわゆる「考える」知能である。
ロシアは一部の領域では進歩を遂げているが、一部の領域では十分な成果をあげていない。しかし明らかなことがいくつかある。銀行業務以外にも、例えば無人航空機や自動運転車がある。ロシアの Yandex や KAMAZ の車両には、すでに100万キロメートル以上の走行記録がある。これまでのところ限定的には実行されていることも事実なら、これまでのところ日常生活に全面的に適用されていないことも事実である。ただし、これらは最初のステップであり、これらなしでは開発は不可能である。これらは、製造業や生活のほぼすべての領域で使用できる技術である。
ロシアの長期的な発展にとって最も重要な問題は、一般的には国家安全保障とロシア国家の存続の問題である。それ故に、人工知能の能力が国防と経済発展のペースの両方に影響する。
この領域の国家プロジェクトがあり、そのためのリソースが割り当てられている。ロシアの開発領域の中でも最も重要な領域の1つである。
[DW編集局]