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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 原子力・代替エネルギー庁(CEA)
- 元記事公開日:
- 2019/12/12
- 抄訳記事公開日:
- 2020/02/18
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フクシマの除染戦略およびその効果に関するCEAの発表
Fukushima : les leçons d’une décontamination exceptionnelle des sols
- 本文:
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2019年12月12日付原子力・代替エネルギー庁(CEA)の標記発表の概要は以下のとおり。
2011年3月の福島原子力発電所での事故の後、日本の当局は、被災地の9,000 平方キロメートルを超える土地の大規模な除染作業を実施する決定をした。2019年12月12日、この作業のほとんどが完了したため、欧州地球科学連合(EGU)の科学雑誌 SOIL は、約60件の科学発表論文の総括記事を掲載し、使用された除染戦略および放射性セシウムに焦点を当てたその効果について概観している。この発表は、気候・環境科学研究室(LSCE)の研究者であるオリビエ・エヴラード(Olivier Evrard)氏が率いる国際協力の成果である。
この総括記事では、主に環境中の放射性セシウムのその後に焦点を当てている。これは、この元素が事故時に大量に放出され、9,000 平方キロメートルを超える地域を汚染したからである。また、セシウムの同位体の1つ(137Cs)は30年の半減期を持っているため、中長期的には地元住民にとって最大のリスクとなる。除染作業が行われない環境では、約3世紀続くと推定できるからである。
この総括記事は、日本の当局が耕作地を浄化するために選択した主な方法である土壌の表層を5 cmの厚さ剥離する方法により、処理地域のセシウム濃度を約80%削減できたことを示している。しかし、耕作地の処理に効果的であることが証明されている表土上部の除去により、日本政府には約240億ユーロの費用負担が生じている。またこの方法により(2050年を目標に福島県外にある最終処分場に送るとされているが)発電所の近くでは数十年にわたって処理、輸送、保管が困難な大量の(放射性)廃棄物が生じている。2019年初頭までに、福島の除染作業により約2,000万立方メートルの廃棄物が発生した。
除染活動は、主に農地と住宅地を対象としている。上記総括では、森林は(困難さと莫大なコストの故に)修復の対象になっていないことを指摘している。しかし、それらは放射能汚染地域の75%を占めている。
上記解説は、福島事故による放射性降下物の影響を受けた自治体で実施されている除染戦略に関して、前例のない科学的教訓を提供するものである。
[DW編集局+JSTパリ事務所]