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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
- 元記事公開日:
- 2020/01/15
- 抄訳記事公開日:
- 2020/02/27
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連邦閣議が持続的で、循環経済志向の、強い経済に関する国家バイオエコノミー戦略を決議
Nationale Bioökonomiestrategie für eine nachhaltige, kreislauforientierte und starke Wirtschaft
- 本文:
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1月15日連邦閣議はバイオエコノミー戦略を決定、これに関してドイツ連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。
持続性のある経済は、気候と環境を保護し将来の繁栄を保証するものでもある。それゆえ、ドイツはバイオエコノミーの拡充を重視し、15日連邦閣議は国家バイオエコノミー戦略を決定した。連邦政府はバイオエコノミーのこれまでの活動をまとめ、具体化にむけて道筋を定めた。これをリードするのはBMBFおよび連邦食糧・農業省(BMEL)である。
カルリチェクBMBF大臣談:「重要なのは、気候変動が我々に考え方を変えることを強いていることである。強い経済を維持しつつ、生活レベルを保持していくために、できることは全て実行しなければならない。バイオエコノミーはその鍵になる。新しいバイオエコノミー戦略を通じ、より強力に生物学的資源、プロセス、システムをあらゆる経済領域において利用して行く。戦略は明確に持続性に焦点を当てている。気候、環境、生態系の限界負荷を視野に入れたイノベーションを確実に促進していく。持続可能な経済は、グローバルな持続性目標達成の助力となるだけでなく、将来の市場における位置づけを長期的に確保する」。
クロックナーBMEL大臣:「バイオエコノミーには未来がある。特に農林業の未来が秘められている。農家は中心的な資源生産者として戦略の柱となる。ドイツは化石原料を大量に輸入しなければならないという一方で、再生可能な原料エネルギーが近場で増えているからである。」と強調。「タンポポを原料とするタイヤ、麻の繊維で造られる自動車ドア、トウモロコシを原料とするゴム長靴、これらは研究で潜在的かつ実用的関連性を示す例である。従来総合的戦略の進展によって、こうした試みの開発および実証を支援し、プロセスと実行者とをより効果的につなげていく。バイオエコノミー評議会を設置し、社会の意見を取り入れながらバイオエコノミーの限界や目標に関する問題点について議論していく。たとえば、再生資源への需要増によって食糧確保が危機に晒されないようにすることである」。
国家バイオエコノミー戦略の中核目標は持続可能な、循環志向のイノベーションに強いドイツ経済を作ることである。同戦略は今後数年のバイオエコノミーの有効な拡大のための枠組を示している。将来の研究助成の重点となるのは、生物学的知見の拡大と生物学的プロセスとシステムの利用である。あらゆる専門分野にわたるデジタル化と先端技術と結びつけることによって、持続可能な経済に関する新たなポテンシャルが開発される。同時に、より多くの生物由来の資源が産業で利用されるようにする。それらは化石原料に取って代わり、新たな持続可能な製品を生み出す。生物由来原材料を効率的に維持するためには、循環志向型利用に関する新しいコンセプトが重要である。その特性によって、再生可能原材料は循環に適しており、資源の消費を軽減するものである。持続可能なバイオエコノミーの発展を国際的に進めるためには、経済との密接な融合、そして国境を超えた協力が拡大されなければならない。バイオエコノミーが効力を発揮するためには、特に社会的な要求やニーズに対応させなければならない。そのためオープンな議論を行い、あらゆる社会グループを取り込むことが重要である。これはバイオエコノミーが2020科学年のテーマとなった理由である。
連邦政府のバイオエコノミー政策を総合的戦略に束ねることで、これまでの目標や措置をこれまで以上に強固に相互に結びつけることに役立つ。バイオエコノミー戦略は連立協定に定められたバイオ・アジェンダ「生物学からイノベーションへ」の実現に大きく寄与することが期待されている。
背景-バイオエコノミーとは何か
バイオエコノミーとは生物学的な資源、プロセス、システムを利用する経済形態と定義される。これら資源には植物、微生物、菌類、さらに生物学的な諸関連に関する知識も含まれる。これらを基盤にして、様々な経済領域において、製品、プロセス、サービス等が開発、利用される。こうして新たな化学薬品、材料や建材、または医薬品が生み出される。生物由来の原材料が化石原材料に取って代わることが多い。これらは再生可能であり、特別な規模で循環可能であるため、より持続的であるとされる。
ここ数年のデジタル化および他の新技術により、生物学的なシステムおよびプロセスを人間のために有用にする可能性が生み出されている。これに伴い、生物学的システムが持続的なイノベーションの模範となっている。
連邦政府は化石原材料に大幅に依存する経済から、循環志向で、バイオベースの経済への転換を、これまで二つの戦略を組み合わることで、支援してきた。即ち、2010年に決定された「研究戦略バイオエコノミー2030」はBMBFが主体となり実行され、研究開発によるバイオエコノミーにおけるイノベーションの基盤を築いた。2,000以上の研究プロジェクトが約10億ユーロの支援を受けた。BMELが主体となり2013年に出された「国家政治戦略バイオエコノミー」により、バイオエコノミーへの構造変革加速に関する戦略的なアプローチおよび措置が規定された。
新たなバイオエコノミー戦略の基盤となっているのは、BMBFのイニシアチブによる国の研究戦略進展に関するプロセス、研究戦略評価およびバイオエコノミー評議会の勧告等である。またBMELが主体となって作成された「国家政治戦略バイオエコノミー」の実行に関する経過報告も考慮されている。
[DW編集局]