[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2019/11/28
抄訳記事公開日:
2020/03/12

英国が欧州宇宙機関(ESA)に年間3億7,400万ポンドの投資

UK invests in European Space Agency programmes

本文:

2019年11月28日付ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表の概要は以下のとおり。

英国宇宙庁はこのほど、今後5年間の国際宇宙プログラムを実行するべく、欧州宇宙機関(ESA)に年間3億7,400万ポンドを投資する旨発表した。

ESAは宇宙の研究・技術・用途開発における協力を促進するために1975年に設立された政府間組織であり、英国はESA設立メンバー国の1つである。ESAは欧州連合(EU)とは独立しており、欧州各国のほか世界中の国々が結集している。ESA加盟国であることで、英国は国際宇宙ステーションや ExoMars プログラム(欧州が主導する火星探査計画)などのプロジェクトで世界中の宇宙機関と協力することができる。ExoMars では火星での生命の兆候を探るために英国製ローバーが送られる。

今回の投資により、国際宇宙ミッションへの英国の関与と、次のような新技術の開発が確保される。

  • 月を周回する新しい宇宙ステーション、「ルナー・ゲートウェイ」を建設する。
  • 火星から最初のサンプルを持ち帰る。
  • 気候変動の理解に役立つ新しい衛星
  • 太陽嵐の早期警報システム
  • 5Gや衛星ブロードバンド・サービスなどの高速モバイル技術を世界中に提供する宇宙技術の研究
  • 宇宙での衝突を防ぐべく、宇宙ゴミを除去する。

宇宙科学ミッションの数と目標を高めるべく、英国は全てのESA加盟国と共同で、宇宙科学全体の予算(英国の分担は約6億ポンド)の10%増を支援している。これらには、重力波を利用したブラックホールの研究や、太陽系の彗星を捕捉して研究するミッションが含まれる。

この関連の国際投資では、以下の国際プログラムのファンディングを行う。ファンディングはユーロで実施されるため、すべての数値は今後の外国為替レート(英ポンド /ユーロ)の影響を受ける。

  • ESAの通信プログラムに対して2億5,000万ポンド。これにより、新しい衛星の開発を通じて5G接続が高速化される。
  • 世界的な探査プログラムに1億8,000万ポンド。火星から最初のサンプルを持ち帰るほか、「ルナー・ゲートウェイ」や(月面の宇宙飛行士やロボットを支援する)月面通信プログラムを介して月面での持続的なプレゼンスを維持するという米国の野望を支援する。
  • 米国との協力ミッションに関する宇宙の安全性・セキュリティに8,000万ポンド。宇宙および地上のインフラの宇宙気象からの防護のほか、宇宙ゴミの除去に資する。

英国はまた、地球観測への2億ポンド以上の投資を約束した。これには、気候変動への取り組みを支援する英国主導の TRUTHS ミッションのほか、2028年まで続く ESA コペルニクス(欧州地球観測計画)宇宙コンポーネントが含まれる。

その他の投資として、衛星測位のイノベーションに1,600万ポンド以上、商業宇宙飛行の支援に1200万ポンド、宇宙技術の支援に3,000万ポンド以上などがある。

英国は現在、データ通信の研究支援に年間約9,500万ポンド、地球観測・気候科学プロジェクトの支援に年間8,000万ポンドを支出している。

[DW編集局]