[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2020/01/24
抄訳記事公開日:
2020/03/23

英国のEUから脱退に関する質問と回答

Questions and Answers on the United Kingdom's withdrawal from the European Union on 31 January 2020

本文:

欧州委員会(EC)の2020年1月24日付標記発表の中から、科学技術・イノベーションに直接関係すると考えられる部分を以下に抜粋・要約する。

英国は2020年1月31日深夜(ブリュッセル時間)に欧州連合(EU)を離脱する。もはやEU加盟国ではなくなり、EUにとっては残念なことだが、順守すべき決定でもある。

EUと英国は、英国脱退の条件に同意し、EU法が英国への適用を停止した場合の法的確実性を確保すべく、精力的に交渉を行ってきた。交渉の結果が、グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国のEUおよび欧州原子力共同体(Euratom)からの脱退に関する協定である。

● 移行期間

脱退協定の批准完了後に移行期間に入る。この期間は、脱退協定の一部として合意されており、少なくとも2020年12月31日まで続く。移行期間中は、EUと英国の両方の市民、消費者、企業、投資家、学生、研究者にとって、業務遂行はこれまでと変わらない。英国は、EUの機関、省庁、組織、部局に参画できなくなるが、移行期間終了まで、英国では引き続きEUの法律が適用される。

EUと英国は、2019年10月にEU・英国間で合意された政治宣言に基づいて、これらの期間を利用して、将来の新しい公正なパートナーシップについて合意する。ECは、2月3日に包括的な交渉指令案を採択し、その後一般理事会がその任務を採択する。

移行期間中、英国は、EUの排他的権限領域においても、(移行期間中に協定による規定が適用されない限り)第三国や国際機関と国際協定を締結することができる。

● 移行期間の終了前に交換されたデータと情報の使用

EU加盟期間中に、英国の民間および公的機関は、他の加盟国の企業および行政機関から個人データを受け取っている。脱退協定では、移行期間終了後も、英国はこの「個人データのストック」に対してEUのデータ保護規則を引き続き適用する必要があると規定されている。これは、ECが正式のいわゆる十分性決定を通じて、英国のデータ保護体制がEUのデータ保護対策と「本質的に同等」であると確認されるまで続けられる。

● 欧州原子力共同体(Euratom)

脱退協定に従い、Euratom とそれが保証する保障措置に関して、英国は、原子力保障措置の継続的な履行に対する単独責任、および今後もEuratom 協定と同等の保障範囲と有効性を提供することを国際的にコミットした。

Euratom は、英国内にある保障措置関連の機器・その他資産の所有権を(帳簿価格で)英国に譲渡する。

また脱退は Euratom による国際協定が英国に適用されなくなることを意味し、英国はその文脈で国際的パートナーと個別に取り組む必要がある。

英国の事業体が英国で保有している特殊核分裂性物質の所有権は、Euratom から英国に譲渡される。EU27か国の事業により英国内に保有される特殊核分裂性物質に関して、英国は Euratom の権利(これらの物質の今後の販売又は譲渡を承認する権利など)が継続されることを受け入れた。双方は、使用済み燃料および放射性廃棄物の最終的な責任は、国際条約および Euratom の法律に沿って、それが製造された国にあることに同意する。

● 財務処理に関する合意事項

2019年4月29日付欧州理事会ガイドラインでは、①EU予算、②諸条約によって設立された全ての組織・機関における英国のメンバーシップの終了、③EUの政策に関連する特定の基金や融資制度への英国の参加、について単一の財務処理を要求している。合意された財務処理はこれらの点をすべてカバーしている。

脱退協定によると、英国は、EU予算(特に2014~2020年多年次財政枠組に関して、移行期間終了後にプログラムの終結に関連して発生する支払など、)、欧州投資銀行、欧州中央銀行、トルコの難民施設、EU信託基金、欧州開発基金等に関連して、EU加盟国であった期間中の責務に対する財政負担分は順守する。このような背景に対して、ECと英国の交渉担当者は、脱退の文脈での英国の義務を計算する公正な方法論で合意している。

● プロジェクトやプログラムへの影響

現在の多年次財政枠組(2014~2020年)に基づくEUのすべてのプロジェクトやプログラムは、予定通りに資金支援を受ける。これにより、英国の受益者を含むEUプログラムのすべての受益者に確実性がもたらされる。英国の受益者は、EUプログラムの恩恵をその終了時点まで引き続き受けられるが、脱退後に承認された資金支援手段の恩恵は受けられない。

[DW編集局]