[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立保健医学研究所(INSERM)
元記事公開日:
2020/01/24
抄訳記事公開日:
2020/03/25

INSERMの研究者らが欧州へのコロナウイルス流入のリスクを推定するモデルを提案

Coronavirus : Des chercheurs de l’Inserm proposent un modèle pour estimer le risque d’importation de l’épidémie en Europe

本文:

2020年1月24日付国立保健医学研究所(INSERM)の標記発表の概要は以下のとおり。

中国で蔓延しているコロナウイルスの大流行は欧州に到達するか。中国当局が中国での新しい症例を発表し続けており、8件の症例がすでに他の国に送出されているため、この疑念が生じている。研究者の ヴィットーリア・コリザ氏(Vittoria Colizza)が率いるピエール・ルイス疫学公衆衛生研究所(Inserm /ソルボンヌ大学)内のInsermチームは、2019-nCov ウイルスの予防と監視のための方針を策定するために、流行拡散の可能性をモデル化した。しかし、研究者らは、この研究ベースのモデルはあくまで公共の意思決定を支援するための理論的ツールであり、したがって予測的な目的を持たないことを指摘している。

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2020年1月31日時点の更新内容:

状況は非常に急速に変化しており、確認済みの症例数に応じて、以下に発表される数値は今後数週間で変化する可能性がある。

2020年1月30日現在の最新の数値を使用するコリザ氏らのチームのモデルが、現在 Eurosurveillance(欧州における第一線の科学的な刊行物)サイトに掲載されている。症例数の直接的な変化を追跡する場合は、GISAID (鳥インフルエンザに関する情報共有の国際推進機構)のWebサイトで入手可能である。
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モデル開発に当たり、研究者らは10件以上の症例を報告している中国のすべての省に着目した。これらの症例を送出するリスクの推定は、2019年1月以降のこれらの地域から欧州への空路の流れデータと(航空便に関するデータ収集の世界的リーダーである)OAGが発するデータとに基づいている。

今後2週間以内に少なくとも一つの症例が欧州に持ち込まれるリスクはどの位か?このチームは、流行拡散のリスクが低い場合のシナリオと、流行拡散のリスクが高い場合のシナリオの2つを作成することで、この疑問に回答しようとした。

低リスクの拡散シナリオは、中国政府が空路の隔離を決定する前の状況(中国から送出された7件)に基づいている。今後2週間で流行の影響を受けた中国の省から7件の症例が送出された場合、少なくとも1件の症例を欧州に送出するリスクを推定した。

流行の高リスク拡散のシナリオでは、中国から3倍の症例が送出された場合、同じリスクの推定を示唆している。中国の症例数が絶えず増加しているという事実を反映すると、感染者数のより大規模な送出のケースを予測することが可能になる。

[DW編集局+JSTパリ事務所]