[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
保健福祉省(HHS)
元記事公開日:
2020/02/10
抄訳記事公開日:
2020/04/13

HHSが米国初のバイオテクノロジー・ファウンドリを開設

HHS Pioneers First Foundry for American Biotechnology

本文:

2020年2月10日付の米国保健福祉省(HHS)による標記発表の概要は以下のとおりである。

HHS は、米国が保健安全保障上の脅威に対して防護・対処し、日々の医療を向上させ、米国バイオ経済を強化するのに役立つ技術的ソリューションを生み出すことを目的とした、米国初となるバイオテクノロジー・ファウンドリ(工場)を立ち上げた。

この米国バイオテクノロジー・ファウンドリはマンチェスター(ニューハンプシャー州)に開設され、マンチェスターを拠点とする DEKA Research Corp.が率いる先進再生製造研究所(ARMI)と共同で、HHSの準備・対応担当次官補局(ASPR)との官民パートナーシップの一環として運営される。

ASPR を含む官民コンソーシアムは、ファウンドリのイノベーション・プロジェクトを決定、資金支援するとともに、実用化に向けてさらなる民間資金を誘致する。ASPR と ARMI に加えて、最初のコンソーシアム・パートナーには、産業用医薬品および産業オートメーション・セクターの代表企業が含まれる。

ファウンドリは、地域の専門家と連携し、アイデア・ラボ、ドライ・ラボ、ウェット・ラボ、製造スペース、およびラーニング・ゾーンを提供する。ラーニング・ゾーンではDEKA 社の工業デザイン機能および同社のモデリングおよびシミュレーション技術を利用することができる。ファウンドリはまた、民間セクターのパートナーと連携して技術の採用を促進する実用化プログラムを策定・管理する。

この方式により、技術はより迅速に日常の医療の一部となり、災害対応に活用できるようになる。この実用化プログラムでは、連邦政府および州政府がコストのかかる薬剤、ワクチン、診断薬、機器、備品の備蓄を維持する必要性を減らすことも可能である。

柔軟なウェットラボ・スペースは、プロジェクトチームが独自の人員、製品、材料、備品を持ち込んで、特定のプロジェクト・ニーズに合わせて規模を調整できる。このスペースは、製品の市場投入に必要な商業的適正製造基準(cGMP)を使用した製造プロセスの開発もサポートしている。今回発表のパートナーシップ契約に基づき、DEKAはファウンドリ・プロジェクトに高速プロトタイピング機能も提供する。

ファウンドリの最初のプロジェクトは、現場で必要な医薬を提供するために災害地に簡単に輸送できる小型で携帯可能な自動デバイスの完成と検証に焦点を合わせる。ASPR は国防高等研究計画局(DARPA)と提携して、DARPA の戦場医療プログラムからファウンドリにこの技術を移転している。

上記取り組みにより、ASPRの「オンデマンド優先医療プログラム」が促進されると期待されている。パンデミックやバイオテロ事件などの災害対応では、数百万人が抗生物質や抗ウイルス薬などの医薬品、またはワクチンを必要とする場合がある。同プログラムにより、国内外で製造された医薬品が被災地域に出荷されるのではなく、必要な医薬品が現地で迅速に生産されることが期待される。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]