[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2020/02/19
抄訳記事公開日:
2020/05/13

衛星故障のリスクから英国を保護する世界初の計時センター

World's first timing centre to protect UK from risk of satellite failure

本文:

2020年2月19日付ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表の概要は以下のとおり。

英国の緊急初動体制およびその他の必須サービスは、世界初の国立計時センター(National Timing Centre)を介して、よりレジリエントな計時システムを装備できると アマンダ・ソロウェイ(Amanda Solloway)科学担当大臣がこのほど発表した。

新規センターの研究者達は、英国の各地に拠点を置いて協力し、安全な場所に設置した原子時計のネットワークを通じて、英国の公共サービスと経済の衛星への依存度を下げる。原子時計は、原子と周囲の電子を用いて時間を記録している。

衛星技術を用いた現行の正確計時に加え、このセンターによりレジリエンスを向上することで、緊急対応システム、4G / 5Gモバイル・ネットワーク、通信・放送システム、輸送、証券取引、電力網など、多数の日常的な技術を支えることになる。

現在、これらはすべて全地球測位衛星システム(GNSS)の正確計時に依存している。大規模なGPS障害が発生した場合、英国への経済的影響は1日あたり10億ポンドになると予想される。従って、陸上ベースの技術を追加することは、英国のレジリエンスを向上させ、重要なバックアップを提供する。正確なデータの損失は、救急車の配送や全国の家庭への電力供給などに、生命を脅かす深刻な影響を与えることになる。

上記理由により、政府は標記の国立計時センターの創設に3,600万ポンドを投資する。

※政府は、上記新センターへの投資に加えて、新規研究プログラム「基礎物理学のための量子技術」にさらなる4,000万ポンドを投資する。これは、英国が米国と中国の同様のプログラムに歩調を合わせることで、世界規模で量子技術を主導するのに役立つ。素粒子物理学、天体物理学、核物理学を専門とする研究者は、将に極小の粒子を検出できる量子センサーを使用して、重力の仕組みなど現時点での重要な科学的問いのいくつかに解明のめどを与えるだろう。

[DW編集局]