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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領府科学技術政策局(OSTP)
- 元記事公開日:
- 2020/02/26
- 抄訳記事公開日:
- 2020/05/26
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米国人工知能イニシアティブ:第1年次報告
American Artificial Intelligence Initiative: Year One Annual Report
- 本文:
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2020年2月26日付で大統領府科学技術政策局(OSTP)が公表した標記報告書の概要は以下のとおり。
2019年2月11日、トランプ大統領は、人工知能(AI) における米国のリーダーシップを推進する国家戦略、「米国AIイニシアティブ」を開始した。米国AIイニシアティブは、連邦政府のリソースに焦点を当てて、繁栄の促進、国家安全保障の強化、米国民の生活の質の向上に資する AI イノベーションを支援する。本報告書は、米国AIイニシアティブの進捗状況の概要と今後の長期的展望を記述したものである。
本国家戦略の主要な政策と実施内容は次のとおりである。
・AI 研究開発への投資
米国は、AIの技術的ブレークスルーを生み出すべく、産業界、学界、国際的パートナー・同盟国、その他の非連邦組織と協力して、AI 研究開発への連邦政府の投資を促進する必要がある。トランプ大統領は、2021会計年度予算案で今後2年間で非国防 AI 研究開発予算を倍増することを要求した。2019年に同政権はAI 研究開発戦略計画を更新し、連邦研究開発投資の効果を説明する最初の進捗報告を作成した。また政府全体の非国防 AI 研究開発支出に関する初の報告を発表した。・AI リソースの開放
米国は、安全性、セキュリティ、プライバシー、機密性の保護を維持・拡張する一方で、高品質の連邦データ、モデル、コンピューティング・リソースの利用を促進し、AI 研究開発のためにそれらの価値を高める必要がある。米国 AI イニシアティブでは、連邦政府機関に対して、連邦政府のデータやモデルへのアクセスと使用を増やす新しい機会を特定するよう求めた。2019年、大統領府行政管理予算局は、連邦政府機関がデータを使用・管理する方法に関する運用原則とベスト・プラクティスの枠組みとして、連邦データ戦略を策定した。・AI イノベーションの障壁除去
米国は、国家の価値観と一致するAIガバナンスの指針を示すことで、さらには適切なAI技術基準の策定を推進することで、AI技術の安全な開発、テスト、展開、採用に対する障壁を低くする必要がある。米国AIイニシアティブの一環として、ホワイトハウスは米国AI規制原則案を意見聴取のために公開した。これは、米国の価値観と優れた規制慣行に裏打ちされたイノベーションを促進する最初のAI規制政策である。さらに、国立標準技術研究所(NIST)は、AI技術標準の策定における連邦政府の取り組みに関して初めての戦略を発表した。・AI対応要員の育成
米国は、連邦政府職員を含む米国労働者がAIの機会を最大限に活用できるよう、コンピュータ科学に重点を置いた実習、スキル・プログラム、STEM教育を通じて、現在および将来世代の米国労働者の能力強化を図る必要がある。トランプ大統領は、全ての連邦政府機関に対し、AI関連の実習や職業訓練プログラム等の機会を優先するよう指示した。国立科学財団(NSF)の新たな「国立AI研究所」プログラムは、研究開発の重点化に加えて、特にAI研究者の人材育成にも寄与する。・米国のAIイノベーションを支援する国際環境の振興
米国は、AIの技術的優位性を保護しつつ、AI研究・イノベーションを支援して、米国AI産業のために市場を切り開く、グローバル環境を推進するために国際的に取り組む必要がある。昨年、米国は経済協力開発機構(OECD)で歴史的な取り組みを主導し、信頼できるAIの管理のための基本原則に関する最初の国際コンセンサス協定を策定した。米国はまた、G7およびG20の国際パートナーと協力して、同様のAI原則を採択した。・政府のサービスおよびミッションのための信頼できるAIの導入
米国は、AIなどの技術を導入して、米国民に対する政府サービスの提供方法や効率を改善し、その適用が、プライバシー、公民権、市民の自由などの国家の価値を正当に尊重することを確保する必要がある。政府一般調達局(GSA)では、AIを組織に取り込む場合のベストプラクティスを連邦政府各機関が判断できるように、AI Center of Excellence を設立した。 [DW編集局+JSTワシントン事務所]