[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
原子力・代替エネルギー庁(CEA)
元記事公開日:
2020/02/25
抄訳記事公開日:
2020/05/27

CEAとキュリー研究所による毒素、ウイルス、病原性細菌に対する医薬品候補の開発

La voie est ouverte pour le développement d’un candidat médicament large spectre contre plusieurs toxines, virus et bactéries pathogènes

本文:

2020年2月25日付原子力・代替エネルギー庁(CEA)の標記発表の概要は以下のとおり。

CEAおよびキュリー研究所の研究者らは、エボラウイルス、腸管出血性大腸菌、コレラ毒素など多数の病原体の有害な影響を中和できる分子の作用メカニズムについて最新の状況を確認した。2020年2月17日付 Nature Chemical Biology 誌に発表されたこれらの成果は、広域薬剤の開発への道を開くものである。

特に最近の健康危機の原因となっている毒性のある多くのウイルスや細菌(エボラウイルス、志賀毒素産生性大腸菌、コレラなど)に対する治療資源が不足している。

CEAとキュリー研究所は、数年前より革新的な治療パスの開発に取り組んできた。両機関の科学者は、病原体を直接攻撃するのではなく、それらが有害な影響を行使するために依存している細胞メカニズムを止めようと努めている。数年前、多くの病原体の有害作用を阻止できるRetro-2(CEA・キュリー研の特許)と呼ばれる化合物を開発・合成した。彼らは、3つの毒素、12のウイルス、3つの細胞内細菌、2つの寄生虫に対するこれらの分子の試験管内(in vitro)での有効性を実証している(2017年発表)。リシン、腸管出血性大腸菌、ワクシニアウイルス(天然痘モデル)、エンテロウイルス71(子供に深刻な脳損傷を引き起こすウイルス)、サイトメガロウイルス(免疫不全の人々に感染症を引き起こす)、リーシュマニア症寄生虫の2種、に対するマウスでの有効性の証拠も in vivo で示されている。

2020年2月17日付の Nature Chemical Biology で発表された新しい研究では、CEAとキュリー研究所の研究者が米国のカーネギー・メロン研究所と共同で、このメカニズムに光を当てている。彼らは、Retro-2ファミリーの分子が細胞タンパク質 Sec16A に結合し、その作用を遮断することを発見した。Sec16A は、シンタキシン5(ウイルスと毒素の進行を制御するタンパク質)の細胞内の循環を制御する。

[DW編集局+JSTパリ事務所]