[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
保健福祉省(HHS)
元記事公開日:
2020/03/31
抄訳記事公開日:
2020/06/08

NIHによる査読者が取り扱う機密情報を保護するための措置

NIH Has Acted To Protect Confidential Information Handled by Peer Reviewers, But It Could Do More

本文:

2020年3月31日付の米国保健福祉省(HHS)の監察総監室(OIG)による標記発表の概要は以下のとおりである。

議会、国立衛生研究所(NIH)、および連邦諜報機関は、米国の医学研究と知的財産の公正性に対する外国の脅威について懸念を抱いている。これには、NIHが資金を提供する研究に不当に影響を及ぼし、利益を得る可能性がある外国のプログラムが含まれる。

2018年8月にNIH 所長のフランシス・コリンズ博士は、NIH所外助成金の申請を審査し、これらの申請の機密情報にアクセス権を有する査読者が、情報を外国の団体と不適切に共有していた事例があったとして、懸念を表明した。その後、議会はOIGに資金を割り当て、NIHが支援する研究から得られた知的財産を保護するためのNIHの取り組みの有効性に関する調査を含む、NIHの助成プログラムとその運営の監視を実施した。今回OIGが作成した報告書では査読者の機密情報の取扱いに関するNIHの監視について報告・評価している。

調査方法:
NIH内の外部委託研究局、科学審査センター、経営評価局、連邦諮問委員会政策局のスタッフに、査読者の機密情報の取り扱いに関するポリシーの設定と実施における彼らの役割についてインタビューを行った。また査読の監視に関連するNIHのポリシー、ガイダンス、トレーニング資料等についても確認した。

調査結果:
NIHには、査読プロセスの機密性を保護するためのポリシーと手順があり、情報を漏洩する査読者に対して措置を講じている。漏洩防止のため、NIHはすべての査読者に対して電子機密保持証明書への署名を要求し、助成申請書の機密を守るように査読者をトレーニングしている。潜在的な漏洩を検出する手段は、査読者からの別の査読者の不審な行動の報告によるものが主であるが、漏洩検出技術も利用し始めている。NIHは、機密情報の漏洩が判明した査読者に対して、査読業務の解消や捜査のための法執行機関への報告など、さまざまな措置を講じている。

勧告:
NIHは、研究の公正性脅威分析から特定されたリスク指標を活用して、査読者に対する的を絞ったリスクベースの監視を実施するべきである。さらに、NIHは機密侵害や不当な外国の影響に関する情報について、定期的にトレーニング資料を更新する必要がある。すべての査読者にこれらのリスクに関する定期的なトレーニングに参加するよう要求すべきである。査読のリスクと軽減策について国家安全保障の専門家と引き続き協議し、リスクベースの監視アプローチに情報を取り入れる必要がある。NIHは、これら4つの提案全てに同意している。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]