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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 英国原子力公社(UKAEA)
- 元記事公開日:
- 2020/03/19
- 抄訳記事公開日:
- 2020/06/09
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再充電なしで数十年~数千年分のエネルギーを供給できるダイヤモンド電池の開発
Diamonds could be forever in nuclear-powered battery project
- 本文:
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2020年3月19日付英国原子力公社(UKAEA)の標記発表の概要は以下のとおり。
UKAEAの科学者らは、世界をリードする技術でブリストル大学の研究者と協力し、再充電なしで数十年~数千年分のエネルギーを供給できるダイヤモンド電池を開発している。コンピュータチップ、煙探知器、ペースメーカー、小型衛星などのアイテムはすべて、このようなデバイスで作動できる。
UKAEAの Hydrogen-3 先進技術施設(H3AT)のトリチウム科学者らが、ダイヤモンド電池の生産ライン構築を目指すパイロット・プロジェクトの初期段階を行っている。
この電池は、かつての原子炉由来の少量のグラファイトで駆動され、炭素14とトリチウムがマイクロパワー・ダイヤモンド・デバイスとしてリサイクルされる事になる。各々の電池は非常に小さいため、50kgの炭素14で数百万機に相当すると試算される。
ブリストル大学のトム・スコット教授は、当初、ダイヤモンドの電気特性を利用してダイヤモンド電池を製造する技術開発を支援していた。これらのデバイスは、太陽電池パネルで光を電気に変換する光発電と、同様な原理で作動するが、光の粒子(光子)ではなく、ダイヤモンド構造内から出てくる高速電子を利用する。
小さなダイオードでの、炭素14ベータ粒子からの電力生成が、ブリストル大学ですでに小規模に実証された。ブリストルの科学者らはUKAEAと協力して、重水素をこのダイヤモンド構造の中に配置することを試みている。これを分析した後、トリチウムで同じことを試みる。
H3AT トリチウム・エンジニアの アンソニー・ホリングスワース氏は、次のように述べている。
「トリチウムと炭素14によって放出される高速電子は、バッテリーの外層を通過しない。これらのダイヤモンドは非常に頑丈である。さらに、放射性部分は非放射性ダイヤモンド層でコーティングされている」。スコット教授は次のように述べている。
「ブリストルは カラム(Culham: カラム科学センター)と協力してスピンアウト会社を設立し、これらのデバイスを作製するパイロットランを立ち上げた。年間1万~2万個のデバイスの生産を検討するが、最終的には年間数百万個のデバイスを生産したいと考えている」。 [DW編集局]