[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国研究・イノベーション機構
元記事公開日:
2020/04/27
抄訳記事公開日:
2020/06/18

一般的なコロナウイルス感染のパターンが COVID-19 の理解に役立つ可能性

Patterns of common coronavirus infections could aid understanding of COVID-19

本文:

2020年4月27日付英国研究・イノベーション機構(UKRI) の標記発表の概要は以下のとおり。

コロナウイルス感染症は軽度の風邪の一般的な原因であり、英国では毎年数千人が感染している。それらの大半は冬に温帯地域で循環し、「季節性コロナウイルス」と呼ばれることがよくある。しかし、他の多くの感染症とは対照的に、これらのウイルスがどれくらいの頻度で誰に、治療が必要な病気を引き起こすかについては、あまり知られていない。検査が実施されていないことが多いため、感染のパターンを説明するデータは不足している。

MRC・グラスゴー大学ウイルス研究センターが主導する研究で、Journal of Infectious Diseases 誌に発表された研究では、これらのウイルスが異なる医療環境でどのような場合に最も蔓延するかと、他種類の呼吸器ウイルスとどのように相互作用するかを明らかにしている。

患者集団におけるコロナウイルスの最も詳細な研究の1つである上記研究は、COVID-19 の挙動の把握・予測に重要である可能性がある。研究者らは、一般的な季節性コロナウイルスなど一連の呼吸器疾患で検査を受けた(2005~2017年の間に一般診療医や病院に通院している)7万人を超えるNHS(国民保健サービス)患者のユニークなデータを使用して、年齢、季節的な頻度、各種コロナウイルス間の差異に関連するパターンを探究した。

研究者らは、英国ではほとんど冬季に様々なタイプのコロナウイルスが共存すること、その一部がコミュティでの病気を同時に発生させると考えられる構造的な季節パターンを示すこと、を発見した。ただし、その他のコロナウイルスは、各々独自のパターンで循環している。

この研究結果は、COVID-19を引き起こすコロナウイルスであるSARS-CoV-2が、現在の季節性コロナウイルスとの競合状態にあり、長期的な持久戦を演じるか、又は既存の季節性コロナウイルスの1つ以上を追い出す可能性があることを、示唆している。

これまでのところCOVID-19は、重篤な疾患につながる症例の割合とその年齢特性に関して、季節性コロナウイルスよりもインフルエンザに類似しているように見えるが、この比較考察は現時点ではデータの偏りによって複雑さを呈している。季節性コロナウイルスに関する詳細情報は、長期的にCOVID-19に何が起こるか、また他の呼吸器ウイルスへの影響を予測する上で重要になる。

[DW編集局]