[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2020/05/12
抄訳記事公開日:
2020/06/30

革新的医薬品イニシアチブを通じた治療・診断に1億1,700万ユーロ

€117 million granted for treatments and diagnostics through the Innovative Medicines Initiative

本文:

2020年5月12日付欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州委員会はこのほど、官民パートナーシップである革新的医薬品イニシアチブ(IMI)が3月に開始した早期実施提案公募において、コロナウイルスの治療法と診断法の開発を目的とした8件の大規模研究プロジェクトが採択されたと発表した。

より多くの高品質の提案に資金提供するべく、欧州委員会はこの取り組みへの投資額を当初予定額の4,500万ユーロから7,200万ユーロに増額した。別途4,500万ユーロが、製薬業界、IMI関連のパートナー、プロジェクトに関与するその他の組織によって提供されるので、総投資額は1億1,700万ユーロになる。

今回採択されたプロジェクトは、欧州委員会が危機の発生以来調整しているコロナウイルスのアウトブレイクに対する欧州共通対応の一部である。IMI 公募の下でファンディングを受ける8件のプロジェクトのうち、5件は診断に重点を置き、3件は治療に重点を置いている。各プロジェクトの概要は次のとおりである。

【診断関連:EUからの支援額2,800万ユーロ、総支援額3,500万ユーロ】

  • COVID-RED: COVID-19 感染のリモート早期検出
    臨床疫学の専門知識をデジタル・デバイス(ウェアラブルやモバイルのアプリなど)と組み合わせて、症例を迅速かつ確実に検出する。
  • DECISION: コロナウイルス感染に対処するための小型・使い捨て分子診断プラットフォーム
    低コストで小型化された使い捨ての分子診断システムを開発し、ほぼ15分以内に、どこでもラボ品質で患者の検査をできるようにする。
  • DRAGON: コロナウイルス・パンデミックに対する迅速で安全なAIイメージングに基づく診断、層別化、フォローアップ、準備
    人工知能と機械学習を適用して、改善されたより迅速な診断・予後のための意思決定支援システムを提供する。市民と患者がシステムの開発に関与する。
  • KRONO: コロナウイルス感染の分子診断検査向けの(鼻腔スワブ検査に直結した)生産準備が整った、現場使用・携帯型プラットフォームの評価
    診療所や患者の自宅で使用でき、わずか40分で結果が得られる簡易検査を提供する。さらに、将来の発生に備えて新たな検査を迅速に展開するための提供体制を実証する。
  • RAPID-COVID: 堅牢な自動化と診療現場でのコロナウイルスの識別
    コロナウイルスのほか、30種の一般的な呼吸器系細菌及びウイルスを同時に検出して、患者を迅速に隔離することができ、また抗生物質の不必要な使用を避けながら、すべての患者が適切な治療を受けられるようにする、診断テストを開発する。

【治療関連:EUからの支援額4,400万ユーロ、総支援額8,300万ユーロ】

  • CARE: 欧州における研究開発の促進
    既存の薬物の中から、治療薬(薬物転用)として有効な可能性のある候補を特定し、コロナウイルスに対処するために特別に考案された新薬を開発し、現在および将来のコロナウイルス・アウトブレイクに対する治療法を提供する。
  • Impentri: コロナウイルス急性呼吸窮迫症候群(ARDS)向けの静脈内イマチニブ製剤である Impentri の開発
    無作為化二重盲検臨床試験を実施して、肺炎を伴うコロナウイルス患者の治療薬としてのジェネリック医薬品「イマチニブ」の有効性と安全性を適切にテストする。
  • MAD-CoV 2: コロナウイルスに対する抗ウイルス薬を開発するための最新のアプローチ
    実験室で新しい抗ウイルス治療を試験する目的で、人間の組織を操作することにより、新しいコロナウイルス治療法を開発する。

全体として、これらのプロジェクトは、大学、研究機関、企業、公的機関などの94の組織で構成されている。参加組織の20%を占め予算の17%を受け取る中小企業の強力な関与もある。

[DW編集局]