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国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2020/05/18
抄訳記事公開日:
2020/07/02

カルリチェク連邦教育研究大臣がドイツ神経変性疾患センターを訪問

Karliczek: Mehr Wissen zum Schutz gegen das Coronavirus

本文:

ボンのドイツ神経変性疾患センター(DZNE)で実施されている新型コロナウイルスSARS-CoV-2の研究に関してドイツ連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

DZNEは現在「ラインラント・スタディ(ボン圏内の住民調査)」の対象者に血液検査を要請している。一連の調査は、どれだけの人々が既にコロナウイルスに感染しているかを明らかにするもので、同時に一般的な健康状態、生活様式、免疫状態などの健康ファクターが、どのように新型コロナウイルス感染に影響しているかという疑問にも答えるものである。

これに関してカルリチェク大臣は次のように説明した。「COVID-19による疾患との闘いにおいて長年の専門知識に頼ることができず、新型コロナウイルスの対処方法をリアルタイムで学ばなければならない。この状況下で各ドイツ健康研究センターの実力を頼りにできることは喜ばしい。センターが実施するコホート研究は疾患の影響ファクターを知る上で大きな助けとなる。疾患の発生、経過、処置方法等を推断することができ、特にこれをどのように予防することができるかを示唆してくれる。

これらのコホート研究、ラインラント・スタディやNAKO健康調査は、現在のコロナとの闘いにおいて非常に有用である。調査参加者は既に決まっており、研究者は既存の知識を役立てながら、これをコロナウイルス感染に関するデータと結び付けることができる。結果として著しく時間を節約でき、迅速に科学的知識を得ることができる」。

新型コロナウイルスに関する調査研究部門のトップであるブレテラー教授(Prof. Breteler)は次のように語っている。「新型コロナ感染症によって社会生活に大きなブレーキがかかった一方で、研究には拍車がかかった。世界中でウイルス対策が研究されている。DZNEも危機の克服に貢献する所存である。ラインラント・スタディの結果から、ウイルスがどのように人間の体に作用し、なぜ人によっては症状が現れ、人によっては無症状なのかを理解できることを期待している。また、 COVID-19による感染の長期的影響、および感染症拡大による身体的、精神的な健康への影響を調査する」

4月24日以来、DZNEのコホート調査では既に3,000人強の血液採取がなされている。一連の調査は、感染者数と並び、何故患者によって症状が全くないのか、ごく軽いのか、あるいは重篤なのかという重要な疑問の解明にも役立つことが期待されている。血液サンプルは新型コロナウイルスに対する抗体についてテストされる。これらの所見を健康状態、生活様式、免疫状態等ラインラント・スタディで既に収集したデータと比較検討することによって、病原菌に関する新たな知識が得られ、また多様な健康ファクターがどのようにウイルス感染に影響しているのかに関する新たな知識を得られることを研究者は期待している。半年後には抗体を有する人の数がどのように推移するかを解明するため継続調査が予定されている。

背景:

ラインラント・スタディは2016年から行われているボン市街地におけるDZNEの住民調査で、どのような予防およびリスクのファクターが、高齢者を含む成人の健康に影響するかを研究している。特に脳と加齢による変化に注目している。基本的には30歳からの全ての人々を調査の対象とすることができる。但し自由参加ではない。既に5,000人以上の成人が参加しており、今後は最高3万人の参加を見込む。

DZNEは予防、治療、患者ケア等のための新たなアプローチを開発するため、神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン、ALS等)のあらゆる観点を研究する。全国10の拠点(ベルリン、ボン、ドレスデン、ゲッティンゲン、マグデブルク、ミュンヘン等)に研究組織の専門知識を結集するものである。DZNEは大学、大学病院、その他国内および国際的なレベルの研究機関と密接に協力しており、BMBFと所在州によって助成され、ヘルムホルツ協会に属している。

[DW編集局]