[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2020/05/13
抄訳記事公開日:
2020/07/02

復興計画等に関するフォン・デア・ライエン委員長の欧州議会本会議における演説

Speech by President von der Leyen at the European Parliament Plenary on the new MFF, own resources and the Recovery Plan

本文:

2020年5月13日付欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり。

EUの包括的復興予算は2つの部分で構成されている。第1は欧州予算、すなわちMFF(複数年次財政枠組)である。第2は、その予算をベースとして比較的大きい信用枠を通して資金供給を受ける復興基金である。この信用枠は、欧州委員会が加盟国の保証を得て資本市場から借入できる最高額を定めたものである。そしてさらに重要なことは、復興基金全体がEUプログラムを通じて提供されることである。従って欧州議会は、MFFの支出方法と同様に、復興基金の支出方法についても発言権を有する。

上記復興基金は次の3本の柱に沿って支出される。

● 加盟国の危機からの復興、修復、脱出の支援

大部分の資金がこの第1の柱の新規の「復興・レジリエンスツール」に支出される。これは、主要な公共投資や欧州の優先課題(気候中立で、デジタル化された、回復力のある欧州への移行)に沿った改革への資金提供を行うために創設されるものである。

これは、ユーロ圏であろうとなかろうと、すべての加盟国が利用でき、EUの中で受けた影響が最も大きく、レジリエンスのニーズが最も高いところに焦点が当てられる。

● 経済復興と民間投資の再稼働支援

5Gから人工知能まで、またクリーンな水素から洋上の再生可能エネルギーまで、主要なセクターと技術への大規模な民間投資が必要であることは危機の前からすでに分かっていた。今回の危機によりニーズは以前よりもさらに大きくなった。

InvestEU を強化するのはこの理由による。また新たに戦略投資ファシリティを創設する。これは、製薬セクターなど、今後の回復力と戦略的自律性にとって重要なバリューチェーンへの投資に役立つ。欧州は自らで重要な医薬品を生産できる必要がある。

そのためには投資すべき健全な企業を必要とする。これが「支払い能力措置(Solvency Instrument)」の新設を提案する理由である。これにより、欧州のどこにいても、ロックダウンの結果としてリスクにさらされている健全な企業の資本増強のニーズを満たすことができる。

● 危機からの教訓

ここ数か月の間に、何が重要で、何がうまく機能し、何を改善する必要があるかを見てきた。RescEU(大災害時の市民保護強化計画) や Horizon Europe など、危機の中でその価値を証明したプログラムを強化する。新たに専用の保健プログラムを創設する。

また、近隣地域、開発・国際協力、未加盟国支援に必要な手段を強化することで、パートナーを確実に支援できるようにする。

上記復興資金は4月に合意した次の3つの重要なセーフティネットを補完するものである。

  • SURE プログラム(緊急時の失業リスク軽減のための一時支援策)
  • 欧州投資銀行(EIB)からの資金支援
  • 欧州安定メカニズム(ESM)

また次期MFFと併せて、欧州が必要とする目標に応えるものである。

[DW編集局]