[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2020/05/27
抄訳記事公開日:
2020/07/22

欧州委員会による大型復興計画の提案

Europe's moment: Repair and prepare for the next generation

本文:

2020年5月27日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州委員会はこのほど、大型復興計画の提案を行った。欧州委員会は、すべての加盟国にとって復興が持続可能であり、包括的かつ公正であることを確保するため、最新で強力に刷新された長期EU予算内に組み込まれた新たな復興措置「次世代のEU」の創設を提案する。欧州委員会はまた、2020年向けの調整済ワークプログラムを発表した。これは、欧州の復興と回復力の促進に必要な施策を優先するものである。

欧州委員会は、EU予算の潜在能力を最大限に活用することを提案する。7,500億ユーロの「次世代のEU」と、復興目的で補強した2021~2027年の長期EU予算をあせて、EU予算の総額を1兆8,500億ユーロに引き上げる。

● 次世代への投資

「次世代のEU」では、自己資金上限を一時的にEU国民総所得の2.0%まで引き上げることにより資金を調達する。欧州委員会はその強力な信用格付けを利用して、金融市場から7,500億ユーロを借り入れる。この追加資金は、EUプログラムを通じて提供され、将来のEU予算から長期間にわたって返済される。

「次世代のEU」向けに調達される資金は、次の3つの柱に投資される。

1) 加盟国の投資・改革支援

  • 5,600億ユーロの新規「復興・回復ファシリティ」は、グリーン移行やデジタル移行、これらをEUの優先課題にリンクする国家経済の回復力に関連するものなど、投資と改革への財政支援を提供する。
  • 加盟国の若者の失業率や相対的な繁栄度合いなど、危機の社会経済的影響の深刻さに基づいて割り当てられる新規 REACT-EU イニシアチブの下で、現在から2022年までの間の現行結束政策プログラムに550億ユーロを追加する。
  • 公正移行基金を最大400億ユーロに強化し、加盟国の気候中立への移行加速を支援する。
  • 農村開発向け欧州農業基金を150億ユーロ強化し、「欧州グリーン・ディール」に沿った農村地域の構造変革を支援し、新たな生物多様性と「農場から食卓まで」(Farm to Fork)戦略に沿った野心的な目標を達成する。

2) 民間投資奨励によるEU経済再始動

  • 新規の支払い能力支援措置では、民間資金を動員して、最も影響を受けたセクター、地域、国家で、存続できる欧州企業を緊急支援する。2020年から運用可能で、予算は310億ユーロになり、すべての経済セクターの企業に3,000億ユーロの支払い能力支援を提供し、よりクリーンでデジタルかつ回復力のある将来への備えを可能にする。
  • EU全体のプロジェクトに民間投資を活用するべく、欧州の旗艦投資プログラムである InvestEU を153億ユーロに増額する。
  • InvestEU に組み込まれた新規戦略的投資融資枠は、「次世代のEU」からの150億ユーロの貢献により、グリーン移行やデジタル移行関連セクターや内部市場の主要なバリューチェーンなど戦略的セクターの回復力を高める目的で最大1,500億ユーロの投資を生み出す。

3) 危機から得られた教訓への対処

  • 新規保健プログラム EU4Health により、94億ユーロの予算で衛生安全保障を強化し、今後の衛生危機に備える。
  • EUの市民保護メカニズム rescEU の20億ユーロ増強により、EUが将来の危機に対する準備・対応能力を授ける。
  • Horizon Europeに944億ユーロが配分され、医療、回復力、グリーン・デジタル移行に関する重要研究に対するファンディングのために強化される。
  • 人道支援などの対外施策に165億ユーロを追加して、欧州のグローバル・パートナーを支援する。
  • その他のEUプログラムは、今後の財政枠組を復興の必要性と戦略的優先課題に全面的に合致させるべく、強化される。

[DW編集局]