[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)
元記事公開日:
2020/07/22
抄訳記事公開日:
2020/08/03

MESRIが研究のための複数年計画法案を閣議に提出【速報】

Présentation du projet de loi de programmation de la recherche en Conseil des ministers

本文:

2020年7月22日付高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)の標記発表の概要は以下のとおり。

フレデリック・ヴィダル MESRI 大臣はこのほど、「2021~2030年研究のための複数年計画法案」を閣議に提出した。本法案はフランスの研究界により多くの時間、リソース、可視性を与えることにより、今後10年間のフランスの研究体制を設計していくものである。

この法案の目的は、環境移行、ヘルスケア、デジタル、共生と復興への共同参加など、今後数十年の主要な科学的課題に挑むための推進力をフランスの公的研究に提供することである。それによってフランスは科学大国としての地位を維持することができる。

本研究計画は、科学界全体の代表者との長期にわたる協議の結果である。オンライン・プラットフォームを通じては、900件以上の意見が MESRI に寄せられた。また、MESRI 大臣は研究者や教育・研究者に会って彼らと話し合い、彼らのニーズと期待を聴くべく、各地域への数十回にわたる出張を行った。

● かってない野心的な予算

本研究計画では、今後10年間で次の4つの主要な野心的目標に資するべく、250億ユーロの前例のない投資を行う。

① 全ての科学関係職業に対する魅力の向上
② 公的研究の財政措置と評価の改善
③ 公的研究と社会の関係強化
④ 研究者付随業務の簡素化

● 科学関係職業の魅力を向上させる

本研究計画法のもと、博士号契約による給与は初めて30%引き上げられる。MESRI が資金支援する契約件数は20%増加する。若い研究者や教育・研究者を最低賃金(SMIC)の2倍以上で採用する。長期的な研究プロジェクトにおいて CDD(期限付き雇用契約)の制度下で雇用されている研究者や教育・研究者がすべて経験している不安定さに対する対策として、科学研究任務のCDI(無期限雇用契約)が制度化される。研究要員全体のグレードアップを目的とした報酬体系の見直しが行われる。

● 研究・高等教育に新たな人材を引き寄せる若手教授職

特定分野のニーズを満たす研究戦略向けの手段を各施設に提供するべく、研究機関、大学、グランゼコールに新たな採用方法が用意される。それが若手教授職である。これらの職は、特定の科学的評価が終了した時点で、大学教授や研究職にへの採用を可能にする。そうすることで、特定の若手の研究者や教育・研究者が外国でなくフランスでの学術キャリアを選択できるようにする。

● 簡素化されアクセスしやすいプロジェクト公募、および研究チームへの基盤となるファンディングの増加により、研究にリソースを取り戻す

本研究計画により、国立研究機構(ANR)の採択率を30%にもっていく。特に、各研究室の基盤的予算を直接資金支援することを可能にする「間接経費」率は、40%に引き上げられる。ANRでは一本化されたプロジェクト公募窓口が開かれ、支。プロジェクト公募への応募に必要な手続きの簡素化がなされる。

● 公的研究と社会全体の連繋を強化する

法案では、公的研究と社会との間でさらなる橋渡しをするべく、「起業家研究者」の制度を緩和し、提携研究を支援し、研究者や教職研究者の累積する業務を大幅に簡素化する。本研究計画では、特に参加型科学の観点で、市民と科学界との間の連携を強化する。また、科学・メディア・センターの創設により、全ての人々に科学的生産物を広く周知させ、より適切に配布することを可能にする。

[DW編集局+JSTパリ事務所]