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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
- 元記事公開日:
- 2020/06/11
- 抄訳記事公開日:
- 2020/08/17
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全米アカデミーが意志決定者向けのCOVID-19関連データ指針を公表
National Academies Release COVID-19 Data Guide for Decision-Makers
- 本文:
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2020年6月11日付けの全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記記事の概要は以下のとおりである。
COVID-19対応を主導する意思決定者と社会・行動科学の研究者をつなぐNASEM社会的専門家行動ネットワーク(SEAN)は、入院者数や確定症例数などの地域社会における疾病の広がりを理解するためのCOVID-19関連データを用いた意思決定者向けの指針を発表した。
この中で、意思決定者がCOVID-19関連データを評価する際には、代表性、系統的な過小または過大評価の可能性、不確実性、時間的範囲、地理的範囲の5つの基準を考慮すべきであるとしている。また、意思決定者がアウトブレイクに対応するためにこれらの測定値を使用する際に考慮すべき7つの特定のCOVID-19測定値の利点と欠点を、以下のように要約している。
- 確定症例数:本測定値は容易に入手可能だが、集団におけるCOVID-19の有病率を大幅に過小評価している可能性が高い。症状がそれほど重くない集団や無症状の患者を含むように検査が拡大するにつれ、本測定値の有用性は上昇する。
- 入院者数:入院データは通常リアルタイムで入手可能であるが、特定の日には報告量にばらつきがある可能性がある。本測定値は最も重篤な感染症の症例のみを反映しているが、確定症例に対する入院の割合が減少するにつれて、地域社会における感染症の総数の減少を反映している可能性が高い。
- 救急外来の受診数:一部の地域では、救急外来の受診情報が地域レベルでほぼリアルタイムに入手可能である。このデータは、アウトブレイクの初期段階や再燃の評価に最も有用であるが、症状のある患者が最大で2週間前に感染していたことに注意する必要がある。
- COVID-19による死亡報告:COVID-19による死亡報告は、COVID-19の感染経過が長いため、数週間前のアウトブレイクの状態を反映している。
- 超過死亡:他の測定値に比べ、超過死亡はパンデミックの死亡率への影響を示す最良の指標である。しかし、超過死亡はCOVID-19による死亡と他の原因による死亡が混在している。
- ウイルス検査の陽性比率:広く利用されているとはいえ、疾患の有病率を示す良い指標とは言えず、また、検査を受けた人が集団を代表していないことが多いため、過大評価される傾向がある。
- 代表的有病率調査:代表的なサンプルを選んで検査を行うことで、任意の集団における疾患の有病率を把握するための最良の方法である。この調査は職場等の特定の集団に対して行われるもので、特別な調査を行う必要があり、日常的に収集されたデータからは得られない。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]