[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2020/06/24
抄訳記事公開日:
2020/08/20

EU 2021年予算:欧州の復興に焦点を当てた年次予算

EU budget 2021: An annual budget focused on European recovery

本文:

2020年6月24日付欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり。

● 予算の全般的概要

欧州委員会はこのほど、2021年度のEU予算として1,667億ユーロを提案した。これは、投資の活用と欧州経済の促進を目的とした一時的な復興手段である「次世代のEU」の下で、2,110億ユーロの助成金および約1,330億ユーロの融資により補填される。

年次予算と「次世代のEU」では、コロナウイルスのパンデミックにより生じた当座の経済・社会的損害に対処し、持続可能な復興策を開始し、雇用を保護・創出するために、2021年に大型投資を動員する。本予算はまた、より環境に優しく、よりデジタルで回復力のある欧州の実現に向けた将来への投資の取り組みとも完全に一致するものである。

採択されれば、新規の2021~2027年の複数年次財政枠組みの下での最初の予算となり、フォン・デア・ライエン委員長によって提案される最初の年次予算となる。

上記予算によるファンディングは、グリーン移行とデジタル移行を促進し、雇用を創出し、世界における欧州の役割を強化することにより、EUの再建と刷新に役立つ。

● 持続可能な復興策

欧州の優先課題である持続可能な復興の確保に関して、欧州委員会は上記予算で次のような提案をしている。

  • EUのサイバー防衛のための「デジタルヨーロッパ」プログラムに13億4,000万ユーロを充てて、デジタル移行を支援。
  • 最新の高性能輸送インフラで国境を越えた接続を促進する「欧州施設接続」に30億ユーロ。
  • 若者に投資する「エラスムスプラス」に28億9,000万ユーロ、「クリエイティブ・ヨーロッパ」通じて文化・クリエイティブセクターに3億600万ユーロ。
  • 「共通農業政策」に552億ユーロ、「欧州臨海漁業基金」に8億1,300万ユーロ。これらは欧州の農業・漁業従事者向けで、かつ農業・食品および漁業セクターの回復力を強化して危機管理に必要な範囲を示すものである。
  • 欧州の戦略的自立と安全保障を支えるべく、「域内安全保障基金」に2億2,800万ユーロ、および「欧州防衛基金」に105万ユーロ

● 次世代のEU

さらに、「次世代のEU」に関連する優先施策には次のものがある。

  • 「復興・回復ファシリティ」の下で加盟国に対して、1,315億ユーロの融資および約1,330億ユーロの助成金を提供。
  • 保健・気候に関連する研究・イノベーション活動に対する欧州の支援を強化するために、「Horizon Europe」に173億ユーロ。うち、「次世代のEU」から50億ユーロ。
  • 持続可能なインフラ、イノベーション、デジタル化への投資のために、「InvestEU」に101億3,000万ユーロ。この資金の一部は、「戦略的投資基金」向けで、欧州レベルの重要なサプライチェーンの戦略的自立を構築するものである。
  • 気候中立への移行を確実に実施する「公正移行基金」に94億7,000万ユーロ。うち「次世代のEU」から79億6,000万ユーロ。
  • EUが大規模な緊急事態に対応する能力を確保するべく、EUの市民保護メカニズムである「rescEU」に6億1,900万ユーロ。
  • 新規保健プログラム「EU4Health」に11億9,000万ユーロ。これは将来の保健への脅威に対するEUの備えである。内11億7,000万ユーロが「次世代のEU」からの資金である。

[DW編集局]