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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領科学技術諮問会議(PCAST)
- 元記事公開日:
- 2020/06/30
- 抄訳記事公開日:
- 2020/09/08
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大統領科学技術諮問会議が未来の産業における米国のリーダーシップ強化に関する報告書を公表
RECOMMENDATIONS FOR STRENGTHENING AMERICAN LEADERSHIP IN INDUSTRIES OF THE FUTURE
- 本文:
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2020年6月30日付けの大統領科学技術諮問会議(PCAST)による標記報告書の概要は以下のとおりである。
PCASTは、未来の産業(Industries of the Future: IotF)である人工知能(AI)、量子情報科学(QIS)、先進製造、先進通信、バイオテクノロジーにおける米国のリーダーシップを継続的に確保するための大胆な一連の行動を提言する。これらの行動を支える3つの柱は、(a)研究とイノベーションにおけるマルチセクターによる関与を強化すること、(b)1つ以上のIotF分野を統合し、基礎研究から製品開発までをカバーする新しい研究所構造を構築すること、(c)資格を有する多様なIotF労働力を確保するための新しい方法を構築することである。
第一の柱に関して、連邦政府機関は、特に初期段階の研究成果を効果的に移行させ、大規模なアプリケーションへの応用を確実にするために、行政権限を最大限に活用して、新たな革新的な方法で産学連携を図る必要がある。AIの分野では、共同AIフェロー・イン・レジデンスプログラム、全米50州におけるAI研究所、国立AIテストベッド等の設立が含まれる。QISの分野では、世界レベルの量子インフラを大規模に構築するために産業界の参加が極めて重要である。量子コンピュータのユーザ施設の設置、量子労働力の教育、非競争領域での量子研究協力の構築、量子の基盤的研究の拠点の設置、世界中の優秀な人材の獲得・確保のため、連邦政府による投資が必要である。
第二の柱では、IotFにおける実質的な基礎研究から実用化への連携を強化し加速するために、米国の国立研究所の強みを活用する新しいモデルを提案している。その第一の提言は、新技術の発見研究から開発、展開、商業化に至るまでの、研究開発のあらゆる段階でイノベーションを促進する、新しいタイプの世界レベルのマルチセクター研究開発機関(IotF研究所)の設立である。これらIotF研究所は複数のIotF分野を横断するプロジェクトを対象とし、事務管理負担を最小化した運営を行う。最初の旗艦研究所の候補としてAI と先進製造、およびAI とバイオテクノロジーの2つの統合分野が挙げられている。
これら2つの柱の成功は、熟練した技術労働者から高度な学位を持つ研究者まで、あらゆるレベルの科学・技術・工学・数学(STEM)労働力を強化、育成、多様化させる米国の能力にかかっている。このため、米国は、STEMに限らずあらゆるバックグラウンドを持つ個人、さらには十分な評価や支援を受けていない層を含め、STEMトレーニングと教育の機会を創出することで、未来の労働力を育成しなければならない。そのため、特に非STEM労働者に未来のSTEM労働環境で使える専門的能力を提供するプログラムを開発しなければならない。また、IotF分野における職能ライセンスと認定制度を整備し、企業は有資格者の技術職への採用を増やす必要がある。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]