[本文]
-
- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
- 元記事公開日:
- 2020/07/15
- 抄訳記事公開日:
- 2020/09/17
-
ドイツにおける気候に優しい鉄鋼生産を可能にする研究
Karliczek: Forschung macht klimafreundliche Stahlproduktion in Deutschland möglich
- 本文:
-
7月15日連邦政府は「鉄鋼行動計画」を採択した。これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。
高品質の鉄鋼はドイツの数多くの基幹産業分野の中心的な原料である。インフラ建設、機械製造、あるいは自動車産業等どれをとっても、鉄鋼産業は産業拠点ドイツにとってその成功を保証してくれるものである。しかし鉄鋼分野は厳しいグローバルな競争の中にあり、環境保護目標を達成するために深刻な課題に直面している。本日連邦閣議は「鉄鋼行動計画」を決定した。これについてカルリチェクBMBF大臣は以下の通り表明した。
「ドイツにおいて、継続して質の高い雇用を有する強い鉄鋼産業の維持を成功させるためには、長期的に強力な、国際競争力のある、気候中立な鉄鋼産業という路線に舵を切ることが重要である。この変革プロセスにおいて科学は重要な役割を担うことになる、例えば気候温暖化を防ぐ目標の達成のために、再生可能エネルギーによるグリーン水素の利用によって鉄鋼産業の二酸化炭素排出量を著しく軽減することができる。
2016年以降、BMBFプロジェクトCarbon2Chemは環境に優しい鉄鋼産業の実現に取り組んできた。CO2を含む温室効果ガスを捉え、浄化し、グリーン水素を用いて化学物質、燃料、肥料等の原料に変化させるものである。デュイイスブルクのテクニカルセンターではthyssenkrupp社の冶金ガスから、実際の産業条件下でアンモニアとメタノールを生産している。
「鉄鋼行動計画」の決定に時を同じくしてCarbon2Chemプロジェクトが第二フェーズに入る。BMBFはこのために総額最高7,500万ユーロの助成金を用意している。目標はCarbon2Chemコンセプトの大規模技術実現の実証にある。目標は2025年までにドイツで最大の鉄鋼工場が低排気ガスで稼働するためのベースを築くことにある。
もし大規模に導入されれば、Carbon2Chemは年間2,000万トンのCO2を利用可能にする。このコンセプトをセメント製造、ゴミ焼却、あるいは外国への輸出等の他の二酸化炭素排出量の多い産業に利用転換できれば、さらなる温室ガス削減の可能性が考えられる。これまで世界的にはこれに適する鉄鋼拠点が50箇所確認されている。
デュイイスブルクのテクニカルセンターで既に成功している事例が、大規模な条件でも機能することを示したい。これによって “Made in Germany”の地球温暖化問題解決法を輸出できる可能性がある。
もう一つの気候中立な鉄鋼生産への有望なアプローチとして先頃スタートしたドイツ第二の鉄鋼メーカー、ザルツギター(株)におけるBMBFプロジェクトBeWiSeがある。これはSALCOSコンセプトの一環として、鉄還元において石炭の代わりにグリーン水素を用いる可能性を調査している。この種の転換は高コストと解決すべき研究課題を伴う。既に終了したBMBFプロジェクトのMACORとその後継のBeWiSeがこれに関して調査しており、稼働中の鉄鋼産業の競争可能な改造の可能性を明らかにしている。両計画の助成はBMBFが行い、予算は約600万ユーロとなっている。
[DW編集局]