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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州理事会
- 元記事公開日:
- 2020/07/22
- 抄訳記事公開日:
- 2020/09/24
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特別EU首脳会議 (2020/7/17~21)の結果概要
- 本文:
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2020年7月22日付EU理事会の標記発表では、2020年7月17~21日開催された特別EU首脳会議の結果を伝えている。概要は以下のとおり。
● 主要成果
EU首脳は、パンデミック後のEUの再建を支援し、グリーン移行とデジタル移行への投資を支援する復興パッケージと2021〜2027年予算に合意した。COVID-19危機による社会・経済的影響には、加盟国の経済の復興と回復力を支援するために、EUレベルでの共同で革新的な取り組みが必要である。
EU首脳は、複数年次財政枠組(MFF)と次世代のEU(NGEU)制度に基づく特別復興取り組みを組み合わせた1兆8,243億ユーロの包括的なパッケージに合意した。
● EUの長期予算
新規のMFFでは、2021~2027年の7年間をカバーする。次世代のEUによって強化されたMFFは、COVID-19 パンデミックの社会的・経済的影響に対処するべく、復興パッケージを実装するための主要な手段にもなる。
MFFの規模(1兆743億ユーロ)は、EUがその長期的な目標を達成し、復興計画の能力の全面的維持を可能にする。MFFは次の支出領域をカバーする。
・単一市場、イノベーション、デジタル
・結束、回復力、価値
・天然資源と環境
・移民と国境管理
・安全保障と防衛
・近隣諸国と世界
・欧州の行政● 復興基金
次世代のEUは、COVID-19 パンデミックによって引き起こされた課題の対処に必要な手段を提供する。合意の下で、欧州委員会は市場で最大7,500億ユーロの借り入れができる。これらの資金は、バック・ツー・バック・ローンや、MFFのプログラムを通じて提供される支出に使用できる。金融市場で調達された資本は2058年までに返済される。
次世代のEUので利用可能となる資金は、次の7件の個別プログラムに割り当てられる。
- 復興・回復力ファシリティ:6,725億ユーロ(ローン:3,600億ユーロ、助成金:3,125億ユーロ)
- ReactEU(地域復興支援):475億ユーロ
- Horizon Europe:50億ユーロ
- InvestEU(欧州の旗艦投資プログラム):56億ユーロ
- 農村開発:75億ユーロ
- 公正移行基金(JTF):100億ユーロ
- RescEU(EUの市民保護メカニズム):19億ユーロ
● 復興・回復力ファシリティ(RRF)からの割り当て
この計画は、危機の影響を最も受けた国とセクターに資金が確実に渡るようにするものである。RRFの助成金の70%は2021年と2022年に、30%は2023年に支払われる。
RRFからの2021〜2022年の割り当て額は、加盟国のそれぞれの生活水準、規模、失業レベルを考慮した欧州委員会の割り当て基準に従って確定される。
● ガバナンス・条件整備
加盟国は、適切なガバナンスの原則に沿って、2021~2023年に向けた国の復興・回復計画を策定する。これらは各国特有の推奨事項と整合性があり、グリーン移行、デジタル移行にも寄与する必要がある。具体的には、成長と雇用を後押しし、EU諸国の「経済・社会的回復力」を強化する計画が必要である。
● 気候変動対策
MFFと次世代のEUからの総支出の30%は、気候関連プロジェクトを対象としている。これらの支出は、2050年までに気候中立達成というEUの目標、EUの2030年気候目標、およびパリ協定に準拠している。
[DW編集局]