[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家宇宙会議(NSpC)
元記事公開日:
2020/07/23
抄訳記事公開日:
2020/09/24

国家宇宙会議が戦略ペーパー「深宇宙探査と開発の新時代」を発表

A New Era for Deep Space Exploration and Development

本文:

2020年7月23日大統領府国家宇宙会議(National Space Council)が標記文書を公表した。以下にその概要を記す。

この戦略は、人類の宇宙探査および開発に対する野心的なビジョンをサポートするものである。ビジョンは、地球の軌道環境、月の表面と資源、および地球と月軌道の間の宇宙空間を利用して、月、火星、さらにそれを超えた所で、人間が持続可能に存在するために必要な基幹技術、運用能力、商業宇宙経済を開発するためのキャンペーンから始まっている。

現在の宇宙探査の取り組みには、はるかに多くの国々や民間部門の関係者が関与しており、その結果、宇宙におけるリーダーシップの性質が進化している。新しい時代の課題は、単に他の人ができないことを達成することではなく、他の人々に我々と提携する機会を提供することである。NASAは米国政府の民間宇宙探査活動の主要な主体であり、今後もそうであり続けるが、他の省庁や機関が宇宙で果たすべき役割がますます重要となる。

産業規模の商業活動を含む宇宙開発を、政府だけで遂行することはできない。国際的に競争力のある米国の商業宇宙セクターは、米国が宇宙における主導権を握るための基本的な要件である。地球低軌道を超えて宇宙探査を行うには政府のリソースが必要であるが、その長期的な継続は、民間セクターの効率とイノベーションなしには達成できそうにない。米国企業が世界市場で効果的に競争できるようにするために、政府は、米国の宇宙商業を妨害する可能性のある不必要な規制の障壁を改革し、合理化し、および排除する取り組みを継続する必要がある。

野心的で持続可能な戦略:
新しい時代の宇宙探査と開発の戦略は、人類の月への着陸や火星の表面への到達などの単一のイベントで終わるわけではない。野心的で持続可能な戦略は、永続的な国益と整合し、手頃な価格で、技術的に健全でなければならない。地球低軌道から月へ、そして火星へと進むためには、取り組むべき3つの主要な分野がある。すなわち、1)地球低軌道の商業化、2)月に再び着陸し滞在すること、そして3)月の探査と開発から得られた教訓とリソースを活用して、火星に進出することである。

政府の役割:
政府は、当面の間、民間産業と協力しながら、引き続き中心的な役割を果たす。将来的には、政府は、研究開発の後援者、宇宙製品およびサービスの最初の購入者またはアンカー・テナント、公共の安全または国家安全保障上の理由等から必要に応じて規制当局となるなど、より間接的な役割を担うことになる。新しい時代の米国の宇宙探査と開発の成功のためには、政府全体のアプローチが必要である。ビジョンを実行するには、次の5つの主要な政府の役割が重要となる。

1)宇宙活動の長期的な持続可能性のために、安全で予測可能な宇宙環境を推進する。
2)宇宙における商業活動と産業の発展を支援する。
3)新しい宇宙技術の研究開発を支援する。
4)商業および国際的なパートナーと協力して、宇宙探査および開発に必要なインフラを構築する。
5)米国の官民セクターの研究コミュニティによる高度な宇宙研究を支援する。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]