[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2020/07/01
抄訳記事公開日:
2020/09/29

BEISが英国の研究開発ロードマップを発表

UK Research and Development Roadmap

本文:

ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2020年7月1日付で標記ポリシー・ペーパーを発表した。

このロードマップは、グローバルな人材を英国に集め、不要な役所仕事を削減し、世界をリードする科学超大国として英国を強固にするビジョンを提示している。3億ポンド相当の政府投資により、英国全体の科学インフラをグレードアップする。また世界の主導的な科学者、研究者、イノベーターの英国移住を容易にするべく、新たに「人材局(Office for Talent)」を設立する。

以下は標記ポリシー・ペーパーから骨子と考えられる部分を抜粋・要約したものである。

2027年までに研究開発への英国の投資をGDPの2.4%に増やし、2024~2025年までに研究開発に対する公的資金投入を年間220億ポンドに増やすという取り組みにより、この目標に向けた大きな前進が可能になる。

このロードマップでは具体的に次のことを検証する。

  • 研究への投資を強化し、新たな発見を引き出すことで、研究を政府、産業界、社会全体で最も差し迫った問題の解決に応用すること。
  • 研究から経済的・社会的利益を確保することにおいて世界のトップクラスになること。
  • 起業家や新興企業を支援し、研究開発によって規模拡大可能な企業への資本流入を増やしてすこと。
  • ビジョンの実現に不可欠な有能かつ多様な人材とチームを英国に引き付け、維持し、育成すること。
  • 英国での研究開発に関する決定を行う際に地域ベースの成果をより大きく考慮し、研究開発システムが全英のレベルアップ計画に最大限に貢献できるようにすること。
  • インフラ・施設に対する長期的で柔軟な投資を行うこと。
  • 世界をリードする他の研究・イノベーション強国の最適パートナーになり、新興国・開発途上国とも研究開発協力関係を強化すること。
  • 英国の科学、研究、イノベーション・システムが英国社会の需要と期待に確実に応えられるように、新たで想像力豊かな方法に取り組むこと。

● 研究の目標を高くする

  • 長期的、基本的、基盤的な科学・研究を支援する。
  • イノベーション、応用、展開を支援する。
  • 世界をリードする国防・国家安全保障の産業基盤を支援する。
  • 野心的目標「ムーンショット」を策定し、取組むべき主要課題を提案する。
  • 英国での変革的研究を後押しするためのARPA(高等研究計画局)型の組織を設立する。

● 有能な人材・チームの触発・実現を図る

次のことが可能になる方法を期待する。

  • 教育の規模とモデルが研究開発要員の要件を満たしていることを確認すること。
  • 初期キャリアの研究者やイノベーターをキャリアの次の段階に向けて支援すること。
  • 多様な能力の人材を惹き寄せて維持すること。
  • 企業の研究開発要員を誘引・育成・発展を支援すること。
  • 研究・イノベーション要員の流動性向上を支援すること。
  • あらゆる規模の研究・イノベーション・チームを支援し、活気に満ち、インパクトがあり、野心的で多様なチームにすること。
  • 高度な研究開発、データ、デジタルスキルに関して、英国政府および地方分権政府(スコットランド、ウェルズ、北アイルランド)の連携を調整すること。
  • 研究技術専門家の承認と報酬を引き上げること。
  • 現在の強味を基に英国の研究文化を強化する実践を支援すること。

● イノベーションと生産性の向上を図る

次のことが可能になる方法を期待する。

  • 英国経済を支える制度、規則、規制、ネットワークが、競争、イノベーション、普及を確実に促進するものであること。
  • 研究から経済的・社会的利益を獲得すること。
  • イノベーション・インフラ(カタパルト・アクセラレータ・ネットワークなど)を基盤とすること。
  • 強力なイノベーション志向の意見を取り入れること。
  • イノベーションに対するより大きな需要を獲得すること。

● 英国全体での研究開発のレベルアップを図る

次のことが可能になる方法を期待する。

  • 既存の強味および新たに発展しつつある強味を基盤とすること。
  • 未開拓の潜在力がある地域の支援をさらに拡大・迅速化すること。
  • 研究開発集約度の低い地域には、地域に合わせた支援を提供すること。
  • 地方、地域、地方政府機関間のコラボレーション強化を支援すること。
  • 研究開発の介在が、英国全土のより広範な向上に資するようにすること。
  • 制度を簡素化し、官僚主義的な手続きを減らすこと。

● グローバルな研究開発協力の最前線を維持する

次のことが可能になる方法を期待する。

  • 世界中の研究者・イノベーターとのパートナーシップの機会を創出する野心的な提案をすること。
  • 新たなファンディング方式を活用すること。この方式では、新たな機会を迅速に捉まえ、新たな脅威により適切に対応することを可能にする。
  • 海外の政府および国際的な資金支援機関との協力を強化し、発展させること。
  • 英国の知的財産、機密研究、個人情報、学問的価値を効果的に保護することと、強力な国際協力との均衡を保つこと。

● 世界をリードするインフラ・施設を開発する

次のことが可能になる方法を期待する。

  • 長期投資計画を策定すること。この投資計画により、より広範な地域、国内、国際的な利益のために、新規および既存のインフラに対して、より柔軟かつ効率的に投資できるようにする。
  • インフラや施設が真の意味で国の資産になるようにするべく、英国の能力を最大限に活用すること。
  • これらの資産が持続可能な財務基盤上にあることを確保すること。
  • 重要で数少ない研究技術の専門的スキルに重点を置いて、スキルに投資すること。
  • 英国のデジタル研究インフラの可能性(データ、スーパーコンピューター、ソフトウェア、人など)を開発すること。
  • 機能の段階的な変更に投資すること。
  • 成長するキャンパスやクラスターへの障壁を減らすこと。

[DW編集局]