[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立医学アカデミー
元記事公開日:
2020/08/03
抄訳記事公開日:
2020/10/14

Covid-19の検査とスクリーニングに関する国立医学アカデミーの発表

Covid-19 : dépister plus, dépister mieux

本文:

2020年8月3日付国立医学アカデミーの標記発表の概要は以下のとおり。

封じ込めからの解放の一環として2020年5月11日から導入された「検査・追跡・隔離」戦略は、対象を絞った戦略であった。症状の有無にかかわらず、SARS-CoV-2に感染している患者を迅速に特定して隔離するために、疑わしい患者および確認された症例接触者に対してRT-PCR検査を実行することが含まれていた。

このプログラムの実施には、サンプリング・分析能力の増強のほか、一般開業医、健康保険プラットフォーム、医学生物学ラボ、病院ラボ、獣医学ラボを動員する新しい組織が必要であった。また特に追跡調査の実施に関しては、地域の保健機関の支援を得た。週あたりの最大検査能力は70万件であった。10週間後、7月に検査率が50%増加した一方で、週あたり50万件の検査という目標には到達していない(30週目では10万人の住民検査で患者数は682人)。

● SARS-CoV-2を保有する被験者の迅速な検査の妨げとなる問題の説明として、いくつかの原因が示されている。

  • サンプル採取のレベル:
    官・民の医学生物学研究室の混雑。就業時間が制約されていること(特定のケースでは、週末ではない日中で数時間のみ)、鼻・咽頭サンプル採取の資材不足、サンプル採取の資格を有する人材の不足など。
  • RT-PCR検査の実行レベル
    分子生物学の経験があり、高速自動機器を装備している医療分析ラボの数が限定されていること、材料(消耗品、試薬)の不足、訓練を受けた経験豊富な技術者の不足など。

● Covid-19 の疫学的指標は、夏の間の SARS-CoV-2 の活発な循環の持続を予測し、秋にはパンデミック第2波の恐れを示すことから、国立医学アカデミーは、応答性の高い統括的なスクリーニング・ポリシーの実装を推奨する。

  • 迅速な診断ルート(サンプル採取から結果の配信まで24時間未満)を設置すること。これには、強制スクリーニングの対象となる疑わしい患者、接触者、フランスを訪れた旅行者に対して優先確保された、全国をカバーするラボの専用ネットワークが関与する。
  • ウイルスのRNAを迅速に自動検出するためのサンプリング手段・可搬型マシン(GeneXpert システム)を備えたモバイル・スクリーニングチームを創設することにより、重大と見なされるクラスターに迅速に介入することができる。
  • 旅行、出産、手術など任意あるいは動機に基づいたる要請に適切に対処し、秋以降第2波が発生した場合に必要となるニーズに対応する能力を強化するべく、RT PCRによるSARS-CoV-2のスクリーニングを実施する(分子生物学の経験を有する)ラボのアクセシビリティを高めること。

● 国立医学アカデミーは次のことは推奨しない

  • 時間を節約し、試薬を節約する目的で RT-PCR を実行する前に複数のサンプルをグループ化する「グループ化された検査」の実践は、感度の損失につながる。
  • 唾液サンプルのスクリーニング・プロトコルへの統合は、現在利用可能な試薬および自動化システムで使用する限り、鼻・咽頭サンプルと同等の性能を示さない。

[DW編集局+JSTパリ事務所]