[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)
元記事公開日:
2020/09/07
抄訳記事公開日:
2020/11/04

復興計画:高等教育・研究・イノベーションに65億ユーロの投資

Plan de relance : 6,5 milliards d'euros pour l'ESRI

本文:

2020年9月7日付高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)の標記発表の概要は以下のとおり。

「フランス復興」計画は、2030年のフランス構築を目指す国の経済的、社会的、環境移行的な見直しのロードマップである。政府と欧州によって割り当てられたリソースは非常に大きく、1,000億ユーロ、つまり国の年間予算の3分の1で、その40%がEUの出資である。MESRIは復興計画のうち65億ユーロを割り当てられている主要な担い手であり、受益者である。

● 高等教育、研究、イノベーション(ESRI)の復興計画に3年間で65億ユーロ

復興計画の最初の方針の一環として、ESRI は、3年間で総額65億ユーロを超えるいくつかの施策(PIAでの2件を含む)に関与している。

  • 第4次将来への投資プログラム(PIA 4)に基づく55億ユーロ(大学やグランドゼコール、公的研究機関、研究室、研究支援機関といった研究推進機関支援に31億ユーロ、テーマ別プロジェクトは24億ユーロ)
  • MESRI に固有の施策には少なくとも10億ユーロ。(建物の断熱対策改修に充当される全般的予算40億ユーロから拠出が決定される金額を含む)

● ESRI は本計画の3つの優先事項の復興を分担

  • 環境
    高等教育・研究用建造物の断熱対策改修。経済の環境移行・エネルギー的な転換に向けた、いくつかの優先セクター・市場・技術の加速戦略における研究・教育側面(カーボンフリー水素、リサイクルと再生材料の再統合、バイオベースの製品と産業バイオテクノロジー、保健衛生と気候に関するリスクに対する都市の回復力、保健上持続可能な食品等)。
  • 競争力
    民間の研究開発関係の雇用の維持を支援する目的で公的研究実施機関を動員(3億ユーロ)。経済的自立のための優先投資戦略における研究・教育側面。分野例は、人工知能、クラウド、サイバーセキュリティ、量子技術、デジタルヘルス、革新的な治療法のバイオ・プロダクション、感染症対策、デジタルなど(グリーン戦略で240万ユーロ)。
  • 力の結束
    研究の立て直し加速(ANRによる4億ユーロ)。PIA 4の研究推進組織面の予算より、例えば、大学の能力向上や実証キャンパスの展開の遂行(25.5億ユーロ)、ディープテック新興企業の育成(6億ユーロ)。また、大学のハイブリッド化・デジタル装備(3,500万ユーロ)、(学生の)収容席数の新設(1億8,000万ユーロ)、学生ローン保証の強化(3,200万ユーロ)などがある。

● 復興計画におけるESRI 施策

  • PIA 4(55億ユーロ)

加速戦略(3年間で研究・イノベーションに24億ユーロ)
この戦略は、デジタル技術(サイバー、クラウド、量子、AI)の開発、食料に関する主権を確保するための農業技術の最新化、革新的な治療法のためのデジタルヘルスやバイオ・プロダクションの強化などの主要分野をカバーする。また、デジタル教育の統合に特化した戦略が実施される。

ESRI エコシステムを構成する各機関への資金支援(3年間で31億ユーロ)
① 大学・研究機関の指定拠点(idex、i-site)の変革の活力を強化し、実証キャンパスを展開する。②大規模な研究室・研究プログラム(labex、equipex)を資金支援する。特に、生物医学研究、医療分野の知識開発、医療慣行の改善に向けた取り組みを強化する。③イノベーション(ディープテック計画など)支援を強化する。

  • 研究施策

研究開発雇用の維持(3億ユーロ)
この措置は、研究開発能力を維持しながら、公的研究と企業との連携を強化することを目的とする。これにより、民間部門の1,400人の従業員は、雇用契約を破ることなく公的研究室で仕事をするか、能力強化に向けて論文を完成させることができる。彼らの給与は、雇用する企業と公的研究室との間の研究契約の下で、国によって最大80%カバーされる。若い学卒者や若い博士号取得者の就職を支援するべく600名の若者が公的研究室で雇用されて企業が活用できるようになる、またポスドク500名が公的研究室と企業との間の協力の一環として国による資金支援を受ける。

国立研究機構(ANR)の能力引き上げ(4億ユーロ)
ANRのリソースを強化するべく、4億ユーロ(EUからの資金支援)が予定されている。つまりANR関連予算が2021年より5億1,800万ユーロから9億5,300万ユーロに引き上げられる。2027年には15億1,800万ユーロに達する研究プログラム策定能力の引き上げを2年前倒しするものである。目的は採択率を現在の16%から25%に引き上げることである。

  • 高等教育施策
    大学・研究建造物のエネルギー環境移行改修(全体予算40億ユーロの中で決定される額)
    大学のハイブリッド化とデジタル装備(3,500万ユーロ)
    (学生の)席の新設(1億8,000万ユーロ)
    2020学年度に1万席(5,650席はすでに開設されている)、2021学年度に2万席
    学生ローン保証の強化(3,200万ユーロ)

● 復興計画と PIA 4 は複数年研究計画法の効果を加速させる

復興計画とPIA 4の貢献により、今後3年間で少なくとも46億ユーロが厳格な意味での研究に投資され、62億ユーロ強が研究計画法が関与する研究実施機関の範囲に投資されることになる。(技術移転とイノベーションの側面を含み、関係する高等教育との連携を含む)。

[DW編集局+JSTパリ事務所]