[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2020/09/09
抄訳記事公開日:
2020/11/09

ECが最初の戦略的将来予測報告書を発表:より回復力のある欧州への道筋を示す

Commission unveils its first Strategic Foresight Report: charting the course towards a more resilient Europe

本文:

2020年9月9日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

ECはこのほど、EUの戦略的選択をより適切に導き、新たな課題と機会を特定することを目的として、今回初となる戦略的将来予測報告書を採択した。戦略的将来予測は、主要な政策イニシアチブに情報を提供し、欧州市民の現在のニーズと長期的な願望の両方に資する将来的に有効な政策や法制の企画において、ECを支援するものである。2020年の本報告書は、EUの政策立案に先見性を活用する理由を示し、EUのレジリエンスの包括的な概念を導入している。

欧州の野心的な復興計画に照らして、戦略的将来予測報告書では、EUのレジリエンスを、社会・経済、地政学、グリーン、デジタルの4つの側面で検討している。報告書では、各側面について、コロナウイルス危機によって明らかになった能力、脆弱性、機会を特定している。これらには、中長期的に対処する必要がある。

● EUの政策立案に戦略的将来予測を取り込む

戦略的将来予測は、政策企画の改善、将来を見据えた戦略の策定、短期的な施策と長期的な目標との間の一貫性の確保に役立つ。ECは長年にわたって先見性に頼ってきたが、今や、その戦略的価値を活用するべく、すべての政策分野にそれを取り込むことを目指している。最初の例は、最近の「重要原材料に関する行動計画」(2020年9月3日付)であり、先見性がEUの開かれた戦略的自治の推進に役立っている。主要な将来予測は次により達成される。

  • すべての主要な政策イニシアチブに対して体系的に展望の演習を実施する。
  • 未来を見据えた戦略的将来予測報告書を毎年発行し、新たな傾向と課題を分析して、政策や意思決定のために情報を提供する。
  • EUおよび加盟国の行政における将来予測能力の開発を支援する。
  • EUおよび国際機関やパートナーと、協力的で包括的な将来予測コミュニティを構築する。

● レジリエンスの監視

本報告書は、レジリエンスを監視する最善の方法について、加盟国とその他の主要な関係者との間で議論を開始するべく、プロトタイプ・レジリエンス・ダッシュボードを提案している。これらの議論は、新たなメガトレンドと予想される課題を考慮に入れて、EUおよび加盟国レベルでの長所と短所を特定・評価するのに役立つ。

● 次なる段階

  • 本報告書とそれに続く報告書は、フォン・デア・ライエン委員長の年次一般教書演説や欧州委員会のワークプログラムに情報を提供する。報告書はまた、最初の複数年プログラム策定に関する今後の機関間交渉にも情報を提供する。
  • 戦略的将来予測の包括的な課題には、欧州委員会のワークプログラムにおけるEUの政策的優先課題と主要なイニシアチブのほか、新しい世界秩序に向けたEUの開かれた戦略的自治、今後可能性のあるグリーン雇用と必要なスキル、政策間でのグリーン移行とデジタル移行の交差部分などの主要な横断的問題が示される。
  • 2020年11月に開催される欧州戦略・政策分析システム(ESPAS)年次会議は、来年の戦略的将来予測報告書のトピックについて議論し、EU全体の将来予測ネットワークを立ち上げる機会となる。

[DW編集局]