[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2020/10/19
抄訳記事公開日:
2020/12/14

欧州委員会が2021年度ワークプログラムを採択

2021 Commission work programme – from strategy to delivery

本文:

2020年10月19日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州委員会はこのほど、欧州をより健全で、より公平で、より繁栄させると共に、デジタル時代に適したより環境に優しい経済への長期的な変革を加速するように考案された2021年度のワークプログラムを採択した。これには、フォン・デア・ライエン委員長の政治ガイドラインの6つの主要目標のすべてにわたる新しい立法イニシアチブが含まれており、9月に行った初の一般教書演説にも沿うものとなっている。欧州委員会は、このワークプログラムに定められた優先課題を実行する一方で、危機管理と欧州の経済・社会の回復力の向上に全力を尽くす。

欧州委員会の2021年度ワークプログラムでは、6つの政治的優先課題のすべてにおいて戦略から実行への移行が見られる。これは、グリーン移行とデジタル移行の2つの移行を主導するという委員会の決意を裏付けるものである。これは、危機の脆弱性から抜け出し、EUに新たな活力を生み出す比類のない機会である。

1) 欧州のグリーン・ディール

2050年までに欧州の気候中立を達成するべく、欧州委員会は、2030年までに排出量を少なくとも55%削減するための”Fit for 55″パッケージを提示する。これは、第1に再生可能エネルギーからエネルギー効率に至るまでを、さらには建物のエネルギー性能、土地利用、エネルギー課税、取り組み分担、排出量取引など、幅広い政策領域をカバーする。「炭素国境調整メカニズム」(CBAM)は、欧州連合(EU)パートナーに気候変動の目標を高めることを奨励することにより、炭素漏出のリスクを軽減し、公平な競争の場を確保するのに役立つ。さらに、欧州委員会は、循環経済行動計画、生物多様性戦略、農場から食卓までの戦略を実施するための措置を提案する。

2) デジタル時代にふさわしい欧州

今後10年の欧州デジタル時代を実現するために、欧州委員会は、接続性、スキル、デジタル公共サービスに関連する、明確に定義された2030年デジタル目標のロードマップを提示する。プライバシーと接続性、言論の自由、データの自由な流れ、およびサイバーセキュリティ、に対する権利に焦点が置かれる。欧州委員会は、人工知能(AI)の安全性・責任・基本的権利・データをカバーする領域で法整備を行う。同じ考え方で、「欧州 e-ID 」を提案する。このイニシアチブには、コロナウイルスの影響を考慮に入れた新欧州産業戦略の更新のほか、プラットフォーム労働者の労働条件改善に向けた立法案も含まれる。

3) 人々の役に立つ経済

保健や経済の危機が社会の危機にならないようにするべく、欧州委員会は「欧州の社会的権利の柱」を完全に実施するための野心的な行動計画を提案し、欧州復興に誰もが取り残されないようにする。欧州委員会はまた、すべての子供たちの保健・教育などの基本的なサービスへのアクセスを確保するための「欧州子供保証」を新たに提供する。経済を支援し、経済・通貨同盟を強化するべく、EU銀行の破綻に対処するための枠組みを改定し、EUへの国境を越えた投資を促進するための措置を講じ、マネーロンダリング対策を強化する。

4) 世界におけるより強い欧州

欧州委員会は、すべての人に安全で入手しやすいワクチンを確保するための世界的な対応を主導するなど、この脆弱な世界で欧州が重要な役割を果たすことを保証する。欧州委員会は、規則に基づく多国間主義へのEUの役割強化に関する共同声明、EU南部近隣圏との新たなパートナーシップ、北極圏に関する共同声明を提案する。「元戦闘部隊の武装解除、動員解除、再統合支援のための新しい戦略的アプローチ」も提示される。EUの人道援助に関する政策文書では、パートナーや他の援助提供者と協力する新しい方法を模索する。

5) 欧州の生活様式の推進

COVID-19に直面して、欧州委員会は、特に、既存の機関の役割強化と、生物医学の先端研究開発機関の新規設立によって、より強力な「欧州保健連合」の構築を提案する。その機能を維持および改善するべく、シェンゲン協定の今後の新規戦略が提示される。移民と庇護に関する新しい協定は、「人材とスキル」パッケージなど、合法的な移民に関して提案されるいくつかの措置でフォローアップされる。他の要素としては、不法移民に対する行動計画および持続可能な自主的帰還ならびに社会復帰戦略が含まれる。欧州委員会は引き続き安全保障連合を強化し、テロ、組織犯罪、ハイブリッド脅威に対処する。また、反ユダヤ主義との闘いに関する包括的な戦略も提示する。

6) 欧州民主主義の新たな推進

平等な連合を構築するべく、欧州委員会は、子どもや障害者の権利に関する新戦略のほか、ジェンダーに起因する暴力対策の提案を行う。また、ユーロ犯罪リストを拡張して、あらゆる形態のヘイトクライムやヘイトスピーチを含むように提案する。欧州委員会は、欧州の政党の資金調達に関するより明確な規則を提案し、ジャーナリストや市民社会を濫訴から保護するための行動を起こす。農村地域の長期ビジョンでは、これらの地域の可能性を最大限に活用する施策を提案する。

[DW編集局]