[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2020/11/10
抄訳記事公開日:
2020/12/22

EU予算:グリーン、デジタル、リジリエントな欧州の構築支援で1.8兆ユーロの包括予算に合意

EU budget: European Commission welcomes agreement on €1.8 trillion package to help build greener, more digital and more resilient Europe

本文:

2020年11月10日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州の次期長期予算ならびに一時的復興手段である”NextGenerationEU”(次世代EU)に関する理事会において、欧州議会(EP)とEU加盟国との間で合意に至った。採択されると、合計1.8兆ユーロの包括予算は、EU予算としてこれまでで最大規模になる。これは、COVID-19 後の欧州の再構築に役立つもので、欧州は、より環境に優しく、よりデジタルで、より回復力を備えて、現在および今後の課題により適切に対応するものとなる。

今回の妥協案に盛られた要素は次のとおりである。

  • Horizon Europe を介した研究・イノベーション、公正移行基金(JTF)およびデジタル・ヨーロッパプログラムを介した公正な気候・デジタル移行、復興・強靱化ファシリティ(RRF)、rescEU(EUの市民保護メカニズム)、新規保健プログラムのEU4Health を介した準備、復興、強靱化、等の政策を通じて予算額の50%以上で近代化を支援する。
  • 結束政策や共通農業政策などの伝統的な政策も引き続き多大な財政的支援を受けており、危機時の安定とその近代化を確保する目的で大いに必要とされており、復興、グリーン移行、デジタル移行に寄与する。
  • EU予算の30%は、気候変動対策に支出される。これは、これまでで最大規模の欧州予算の中でも史上最高のシェアである。包括予算は、生物多様性の保護と男女平等にも特別な注意を払っている。
  • 本予算は、予期しないニーズに対応する能力を保証するべく、柔軟性メカニズムを強化している。これにより、現在の現実だけでなく、将来の不確実性にも対応する。
  • 2020年5月に提案され、2020年7月21日にEU首脳によって合意されたものであるが、復興資金の調達に EU は多くの加盟国よりも有利なコストで市場から借り入れを行い、その額を再分配する。
  • 借入金の返済に役立つ新しい独自の財源に向けた明確なロードマップがある。欧州委員会(EC)は、遅くとも2023年1月1日までに導入されることを視野に入れて、2021年6月までに炭素国境調整メカニズムとデジタル課税に関する提案の提出を約束した。ECはまた、2021年春にEUの排出権取引制度を見直すが、これには航空および海事への拡張の可能性が含まれる。2021年6月までに排出権取引制度に基づく独自の財源を提案する予定である。さらに、ECは金融取引税、企業部門にリンクした財政的貢献、または新規の共通法人税基盤といった追加の新しい独自財源を提案する。EUは、2024年6月までに提案を行うよう作業を行う。
  • EU予算の保護に関しては、11月5日に合意された法の規則により、EUは今回初めて、予算を違反から保護する特定のメカニズムを持つことになる。同時に、関係する加盟国におけるEUファンディングの最終的な受益者は、このメカニズムによって悪影響を受けることはない。

[DW編集局]