[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2020/10/21
抄訳記事公開日:
2020/12/23

深いマグマがプレート・テクトニクスの移動を促進する

Du magma profond favorise le déplacement des plaques tectoniques

本文:

2020年10月21日付国立科学研究センター(CNRS)の標記報道発表の概要は以下のとおり。

プレート・テクトニクスの下にある少量の溶融岩が、プレートの動きを促進する。これは、リヨン地質学研究室の科学者らがこのほど明らかにしたものである。この研究者らの新規モデルでは、地震波の伝播速度だけでなく、通過する媒体による減衰も考慮に入れている。その結果、地表面上のプレート・テクトニクスの移動速度は、存在するマグマの量と直接相関している。この研究成果は2020年10月21日付け Nature 誌に発表されている。

地球の外側の岩石圏は、地殻と上部マントルの一部で構成されている。それは、テクトニクスあるいはリソスフィアと呼ばれる硬いプレートに細分され、より延性のあるマントルの層であるアステノスフィア上を移動する。アステノスフィアの粘度が低いため、下にあるマントル上でプレート・テクトニクスを動かすことができるが、この低粘度の原因は今のところ不明である。

地球の表面に分布する地震観測所で記録された何百万もの地震波の分析からの地震断層撮影画像は、3次元で地球の内部を示す。1970年代以降、地震学者らはこれらの波を分析して、基本的に単一のパラメーター、つまり伝播速度を抽出してきた。このパラメーターは温度によって異なる(媒体が低温であるほど、波が早く到着する。波が通過する媒体内における溶融岩の組成・存在の可能性による)。リヨン地質学研究室の地震学者ら(地球、惑星、環境)は、波の伝播速度の変化と同時に、別のパラメーターである波の減衰を研究した。この分析は、波が通過する媒体の温度に関する新しい情報を提供し、波が通過する媒体内の溶融岩の量へのアクセスを可能にする。

上記研究者らの新しいモデルは、プレート・テクトニクスの底部にある溶融岩の量のマッピングを初めて可能にした。この研究は、少量の溶融岩(体積で0.7%未満)が、海洋の下のアセノスフィアの中に存在することを明らかにしている。すなわち、海嶺の下や、タヒチ、ハワイ、レユニオンなどの火山などの予想された場所だけでなく、すべての海洋プレートの下にも存在している。

[DW編集局+JSTパリ事務所]