[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2020/11/12
抄訳記事公開日:
2021/01/05

連邦教育研究省が自然科学基礎研究のデジタル化を推進するための行動計画を発表

Karliczek: „Digitalisierung der naturwissenschaftlichen Grundlagenforschung voranbringen“

本文:

行動計画「ErUM-Data – ビッグデータからスモールデータへ」が発表されることとなり、連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

11月12日、行動計画「ErUM-Data – ビッグデータからスモールデータへ」が発表される。目的は、将来の優れた研究を可能にし、同時に社会的な重要課題を克服するために、基礎研究から生ずるデジタルソリューションの大きな潜在力を十分に活用することにある。これに関してカルリチェクBMBF大臣は次の通り説明した。

「デジタル化の進行が科学の発展を加速し、境界(研究専門分野間の境界や国家間の境界)を乗り越える助けとなっている。インテリジェントに処理されたデータ、迅速な情報交換、そして専門分野横断的な協力等は、先端研究における将来の科学的成功への鍵である。更には、データ利用の新たな能力が社会的重要課題解決のために貢献する。このことを我々は現在のパンデミックにおいて明確に確認している。コロナウイルスの研究において、基礎研究で使用される大型機器は極めて重要である。デジタルな方法によって、大型機器はウイルスの構造や機能を深く理解することを可能にした。こうした成果は、例えば医薬品開発に利用することができる。

行動計画「ErUM-Data-ビッグデータからスモールデータへ」によって、基礎研究から実際応用への移転を加速していく。このようにして、革新的な研究成果が迅速に実用に移され、人々の生活が改善されることを確保する。デジタル化が基礎研究を遅滞なく進められるようにするため、今年中に行動計画の実施をスタートさせる」。

背景:
「ErUM-Data行動計画」によって、BMBFは自然科学基礎研究におけるデジタル変革の重要課題をより迅速かつ組織的に克服するための必要基本条件を整える。このため行動計画は、3つの横断的な分野、「研究データマネジメント」、「フェデレ―テッド・デジタルインフラ」並びに「ソフトウエアおよびアルゴリズム」を規定している。プログラムの実施において焦点となるのは、ErUM研究領域と他の関連領域(数学、ITおよびデータサイエンス)との学際的なネットワーク化、デジタル能力の拡大、および知識や技術の構造的移転である。

第一のステップとして、自然科学基礎研究の様々な専門分野の関係者のために中心的なネットワークおよび移転のスポットとなる、いわゆる“ErUM-Data-ハブ”を設ける。これによって得られる推進力やアイデアは、特定分野の研究開発プロジェクト助成計画キャンペーンへと繋げられる。“ErUM-Data”の実施については今後10年間で最高1億2,000万ユーロの助成が予定されている。

“ErUM-Data”行動計画の目標および各種プログラムは、BMBFデジタル戦略およびハイテク戦略2025を補完し、連邦政府のAI・データ戦略に重要な貢献を果たすことが期待されている。

“ErUM-Data”はBMBFのErUM基本計画の一部であり、これを通じBMBFは年間15億ユーロでドイツ国内外の優れた基礎研究を助成する。宇宙と物質の研究のためドイツは世界中で24以上の独特の大型装置、例えば素粒子加速器、X線光源あるいは大型望遠鏡などに関与している。ドイツの研究機関や大学の研究者約1万人がこうした大型装置で、今日の知識をさらに拡大し、そして未来の技術の基礎を築こうと、国際的なパートナーと協力している。

[DW編集局]