[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府行政管理予算局(OMB)
元記事公開日:
2020/11/17
抄訳記事公開日:
2021/01/20

人工知能(AI)アプリケーションの規制に関する指針

Guidance for Regulation of Artificial Intelligence Applications

本文:

2020年11月17日付の大統領府行政管理予算局(OMB)による標記覚書の概要は以下のとおりである。

この覚書は、法律で許可されている範囲で、連邦政府以外で開発・展開される人工知能(AI)アプリケーションに対する規制・非規制方法の指針とすべき政策上の考慮事項を示すものである。連邦政府機関は現在、その任務遂行において様々な方法でAIを使用しているが、政府によるAIの使用はこの覚書の範囲外である。

● AIのイノベーションと成長の促進
連邦政府機関は、AIのイノベーションと成長を不必要に妨げる規制または非規制措置を回避する必要がある。法律で許可されている場合において、AIアプリケーションに影響を与える可能性のある領域で規制するかどうか、およびどのように規制するかを決定する際、政府機関は、Alのイノベーションと成長に対する規制の潜在的な影響を評価する必要がある。特定可能な特定リスクに対処するべく、狭い範囲で調整された証拠に基づく規制が、米国企業のグローバルな競争力を維持できる環境を提供する可能性がある一方で、政府機関は、結果として社会がその利益を享受できず、AIイノベーションにおけるグローバルリーダーとしての米国の地位を損なうような、AIシステムを不可能なほど高い水準に保つ予防的アプローチは回避する必要がある。AIにリスクが伴う場合、AIが補完または代替する対象として設計されたシステムと比較して、AIを採用することの潜在的なメリットとコストを検討する必要がある。

● AIアプリケーションの監視・監督の原則
法律に準拠して、政府機関は、AIアプリケーションの設計、開発、展開、運用に対する規制・非規制方式を策定する際に、一般的およびセクター固有の両方で、以下に示す原則を考慮する必要がある。また、これらの原則に関するアプローチを調整し、実質的な利益を最適化するために各ケース固有の要因を考慮する必要がある。
1.AIに対する社会的信頼
2.市民参加
3.科学的公正性と情報品質
4.リスクの評価と管理
5.メリットとコスト
6.柔軟性
7.公平性と差別排除
8.開示と透明性
9.安全性とセキュリティ
10.省庁間調整

● AIに対する非規制アプローチ
政府機関は、特定のAIアプリケーションを検討した結果、既存の規制で十分であるか、新しい規制のメリットがその時点または予見可能な将来においてそのコストを正当化するものでないと判断する場合がある。このような場合、政府機関は何も措置をとらないか、代わりに、特定のAIアプリケーションによってもたらされるリスクへの対処に適切な非規制アプローチの特定を検討する場合がある。このような非規制アプローチの例には、次のものがある。

  • セクター特有の政策指針または枠組み
  • パイロット・プログラムや実験
  • 自主的合意基準
  • 自主的枠組み

● AIの導入・使用に対する障壁の削減
大統領令13859号は、「市民の自由、プライバシー、米国の価値観、米国経済と国家安全保障を防護しながら、革新的なアプリケーションを促進するべく、AI技術の活用に対する障壁を減らす方法」各政府機関に検討させるようOMBに求めている。以下は、政府機関がAIの使用と受け入れを容易にする環境を創出するべく、規則作成プロセスの外で実行可能な非網羅的な施策の4つの例である。

  • AI 研究開発に必要な連邦のデータやモデルへのアクセス
  • 一般公衆への広報・周知
  • 自主的合意基準および適合性評価活動の策定・活用への政府機関の参加
  • 国際間規制に関する協力

[DW編集局+JSTワシントン事務所]