[本文]

国名:
英国
公開機関:
英国王立協会
元記事公開日:
2020/11/23
抄訳記事公開日:
2021/01/28
元記事の言語:
英語

英国の研究開発への投資

Investing in UK Research and Development

本文:

2020年11月23日付王立協会の発表の標記報告書の概要は以下のとおり。

政府は、2027年までにGDPの2.4%、長期的には3%目標の一環として、2024年~25年までに220億ポンドを研究開発に投資する旨約束している。

研究開発投資を全体的に増加させるべく、英国は公共サービス、大学、企業の全体で研究・イノベーションを促進し、グローバルな投資を呼び込み、企業が研究開発の拠点を英国に配置するように動機づける必要がある。

● 2018年の英国の研究開発投資は、371億ポンド(2017年の348億ポンドから増加)

2018年、英国の研究開発投資は合計でGDPの1.71%になった。この内、政府・研究会議が0.33%、高等教育機関が0.01%、海外(Horizon 2020 や欧州構造投資基金などのEUファンディング制度からの投資を含む)からが0.23%、企業が0.94%、高等教育ファンディング審議会(HEFCs)が0.11%、医学研究慈善団体を含む民間の非営利団体が0.09%。

● 研究開発投資が重要である理由

イノベーションは、研究投資と関連して経済および生産性の向上実現に役立つ。英国の世界をリードする研究基盤は、新しいアイデアや発見の優れた源泉を提供し、イノベーションを通じて、経済、社会福祉、保健の進歩をもたらす可能性がある。生産性の向上は、経済が長期的により多く生産できる能力を高める。イノベーションを起こすには、新しいブレークスルーを推進するための研究と、これらのアイデアを新しく改善された製品や、サービス、方式に発展させるためのイノベーション・システムに投資する必要がある。

  • 2019年、創造的経済は530万人の求人を占め、英国の全求人の15.7%を占めた。
  • 一貫して研究開発に投資している企業は、研究開発に投資していない企業よりも13%生産性が高い。
  • 臨床研究は、保健と治療の向上を促進することができる。例えば、”RECOVERY” 試験は、 COVID-19 による重度呼吸器合併症について患者生存率改善する薬物(デキサメタゾン)を特定した最初の研究である。
  • 英国の製薬業界だけでも6万3千人を雇用しており、2万3千人が研究開発に専念している。
  • 医学研究に1ポンド投資されるごとに、毎年約25ペンス相当の利益がもたらされる。

● 世界の競合国と比較した英国

英国は、対GDPで、ほとんどの競合国より研究開発投資の割合が低い。競合国の多くは、研究開発投資の増加など、イノベーション・パフォーマンスの向上を目的とした特定の戦略も立ち上げている。2018年、OECD全体の総研究開発支出はGDPの2.4%に相当し、2017年の2.37%から上昇している。英国の2.4%目標はこの平均を目指すものであるため、3%という長期目標が重要になる。

● 研究開発に対する公共投資

2024〜25年までに公共投資を年間220億ポンドに増やすという英国政府の公約は、現実的な期限と対GDP比での増加を表明している。

GDPの2.4%の目標には、企業や非営利団体(医学研究慈善団体など)からの研究開発への投資も含まれる。研究・イノベーションへの政府投資が他の投資をてこ入れすることはわかっているが、これを予測するのは困難である。

EUのファンディング・プログラム(Horizon Europeや欧州構造投資基金など)を含む海外からの投資も、総投資に大きく貢献し、他の資金源からのファンディングに影響している。英国の研究開発の可能性を最大化するには、EUの研究・イノベーション・プログラムとの達成可能な最も近い関係を実現することなくしては問題が生じる。

2018年、英国研究開発への公共投資は合計100億ポンドに上った。

現在の Horizon 2020 による支出期間中に、英国の機関は約20億1,000万ユーロの欧州研究会議(ERC)ファンディングを受け、MSCA助成金の下で10億6,000万ユーロを受け取った。

● 3%実現に向けて考慮すべき要素

  • 政府が研究開発に支出する1ポンドごとに、英国の知識ベースのレベルを上げることにより、民間部門の研究開発の成果は永続的に年間20ペンス増加する。
  • 将来の利益に再利用される資産への投資、資金がほとんど調達できない領域での少額ファンディング、研究者の流動性や協同を促進するファンディングは、金銭的価値が示唆するよりも大きな影響を生じる可能性がある。
  • 英国では欧州の他地域の科学者との協同が最も急速に増加している。2014年から2018年の間に、英国の研究論文の33.5%が他のEUおよび関連国との共著であった。
  • 英国企業の39%は、科学・技術・工学・数学のスキルを持つスタッフの採用に苦労している。
  • 英国は、3%の目標を達成するために、企業の研究開発を増強する必要がある。英国研究開発への企業投資は現在GDPの0.94%を占めており、そのうち53%は外資系企業によるものである。
  • 英国での就労を検討している研究者やイノベーターの就労ビザと研究ビザの初期費用は、他の主要科学先進国と比較して最大6倍高くつく可能性がある。

[DW編集局]