[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2020/12/10
抄訳記事公開日:
2021/02/04

次期研究・イノベーション・プログラム「Horizon Europe」に関する政治的合意

Commission welcomes political agreement on Horizon Europe, the next EU research and innovation programme

本文:

2020年12月10日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

研究・イノベーションを支援する史上最大の国境を越えたプログラムである Horizon Europe に関して、欧州議会とEU理事会との間で政治的合意に達した。EUの新規研究・イノベーション・プログラムの予算は、2021~2027年の7年間で約955億ユーロ(現行価格)になる。これには、復興を促進し、EUを将来に向けてより回復力のあるものにする「次世代EU」基金からの54億ユーロ(現行価格)が含まれるほか、45億ユーロ(現行価格)の追加資金も含まれる。これは、現在の研究・イノベーション・プログラムである Horizon 2020 と比較して30%の増加であり、世界で最も野心的な研究・イノベーション・プログラムとなっている。(EU27ヶ国でのHorizon 2020 に対して Horizon Europe を一定価格で比較)

Horizon Europe は、卓越性を促進し、トップ研究者やイノベータに有益な支援を提供し、グリーンで、健全で、回復力のある欧州を確保するべく必要な体系的変革を推進する。欧州研究会議(ERC)を通じて科学の卓越性が促進され、一流の研究者たちが知識のフロンティアを押し上げて、経済的・社会的課題に取り組むことができるようになる。マリー・スクウォドフスカ=キュリー・フェローシップ・交流プログラムは、最優秀人材たる若手研究者がその知識とスキルを拡大するのに役立つ。また欧州は、欧州委員会の科学・知識部門である共同研究センター(JRC)の科学的助言、技術的支援、専門的研究の恩恵を受ける。

Horizon Europeはまた、我々の社会的課題に関連する共同研究を支援し、グローバルな課題の全範囲に対処するテーマ別のクラスターを通じて技術・産業能力を強化する。例えば、気候・エネルギー・モビリティ・クラスターとデジタル産業・宇宙クラスターでは、気候関連領域の研究・イノベーション・リソースの規模を拡大し、欧州企業が必要な技術やデータにアクセスできるようにする。後者では、量子研究が優先され、それによって欧州の科学的リーダーシップと量子技術の卓越性が拡大する。文化・創造性・包摂的な社会のクラスターが強化され、文化的・創造的セクター、文化遺産、そして人文科学や芸術における研究・イノベーションを支援する。健康クラスターでは、コロナウイルスのパンデミック、臨床試験の拡大、革新的な予防措置、ウイルス学、ワクチン、治療と診断、研究成果の公衆衛生対策への移転などの課題に取り組む。

欧州のミッションは、欧州の公益の提供に関する野心的で期限付きの達成可能な目標に重点を置いている。2030年までに、がん疾患から300万人の命を救うことのほか、気候中立な100都市、健全な海洋・海域・内陸水、健全な土壌と食糧、気候変動に強い地域の達成を目指している。合理的な数の欧州パートナーシップでは、エネルギー、輸送、生物多様性、保健、食料、循環性などの重要領域をカバーし、官・民セクターからのパートナーの幅広い参加を促進する。

知識には国境がないため、Horizon Europe は参加を奨励し、研究・イノベーション・ギャップの低減を図り、研究・イノベーション・パフォーマンスの低い国を支援し、中核センターを構築して、そのような国の能力向上を図り、協力関係を促進するなど幅広い方策を通じて欧州研究圏(ERA)を強化する。本プログラムの予算の3.3%がこれに割り当てられる。これは、Horizon 2020 と比較して大幅増である。

さらに、本プログラムでは、欧州イノベーション会議(EIC)やEUミッションなどの新機能を導入する。すでにパイロット段階として実行されているEICは、中小企業(SME)、新興企業、中堅企業による新たな画期的なイノベーションを支援するために、100億ユーロを超える予算を持つ。これは、欧州イノベーション・技術機構(EIT)を補完するものである。地域や国のイノベーション当事者と結びつけることで、欧州イノベーション・エコシステムが強化される。EUミッションは、がんとの闘いから、気候変動への適応、よりグリーンな都市での生活、(食糧、自然、人、気候にとっての)土壌の健全性の確保、水域・海域の保護に至るまで、我々の日常生活に影響を与える問題に取り組むことを目的としている。

Horizon Europeは、InvestEU、エラスムス+、EUの結束政策、デジタル・ヨーロッパ、欧州構造投資基金、コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ、復興・強靭化ファシリティなどの他のEUプログラムや政策と緊密に連携することで、その影響力が高められ、国および地域レベルでの迅速な普及、および研究・イノベーション成果の取り込みを促進する。枠組みプログラムの歴史で初めて、地域がその自発的な意思により、地域基金の一部をHorizon Europeに移転し、その地域の研究・イノベーション活動に使用できる。

[DW編集局]