[本文]

国名:
フランス
公開機関:
議会科学技術評価局(OPECST)
元記事公開日:
2020/12/15
抄訳記事公開日:
2021/02/22
元記事の言語:
フランス語

Covid-19 流行に対処するワクチン戦略(提言)

La stratégie vaccinale contre la Covid-19

本文:

2020年12月15日付で議会科学技術評価局(OPECST)は標記に関する調査報告書を作成し、その中で4つの軸に沿って各々の提言をしている。提言の概要は以下のとおり。

● 科学的知識と科学的不確実性

  • 衛生上の観点から、すでに Covid-19 に罹患している人にワクチン接種をすることは適切である。ただし、ワクチンの投与量が限られている状況では、RT-PCRの結果が陽性の人は、(たとえこれがロジスティック上の問題を引き起こす可能性があるとしても)、権威筋が定めたワクチン接種の最初の2段階から除外される可能性がある。
  • 重要な変異を迅速に特定できるようにするには、ウイルスとその疫学を監視する必要がある。特にワクチン・エスケープが発生した場合、ゲノム解析の取り組みを継続する必要がある。
  • 通常よりも頻繁に起こる軽度の副作用のリスクは、ワクチンを投与される人々に明確に説明する必要がある。そうしないと、2回目の注射を受けない人もいる。
  • リスクと恩恵のバランスでは、Pfizer / BioNTechアライアンスが高齢者向けに提供しているようなワクチンによるワクチン接種が広く支持されている。科学者らは、高齢者では発症する可能性が低い自己免疫症状など、一般集団で起こりうる長期的な悪影響についての経過観察を行う十分な時間がないことを指摘している。

● ワクチン接種戦略とロジスティクス

  • 不協和音の印象を避けるべく、各関係者の役割と機能を明確にし、ワクチン接種戦略に関するコミュニケーションに関与する各組織に割り当てられる範囲の正確な展望を持つこと。
  • 公的政策を評価し、政府の行動を監視するという議会の役割を維持すること。政府は決定を下し、ワクチン接種システム全体に対して最終的な責任を負う。
  • ワクチン接種の自発的かつ無償であることを再確認すること。
  • リスク要因のあるスタッフだけでなく、希望するEHPAD(要介護高齢者の医療付き宿泊施設)スタッフに第1段階ワクチン接種の拡大を検討すること。
  • (第1段階以降に対象となる)リスクと曝露の要因が高い人々は、可能な限り迅速にワクチン接種を受けることができるようにすること。
  • 国民と直接接触する一般開業医を含む医療専門家のワクチン接種の重要性を確認すること。
  • バッチの保管条件を尊重しながら、ワクチンを保管・配布するために配置するロジスティクス・チェーンの設定を完備すること。
  • 第1段階を性急に実行しないこと。また、EHPADでの同意を得るためのプロトコルを策定すること。
  • 第2段階からのワクチン接種は、街の医療専門家に頼ること。
  • ワクチン接種による事故の補償のために、国立医療事故補償機構(ONIAM) の介入を規定する所管省の発令により、その介入を法的に確保すること。
  • 実行されたすべてのワクチン接種を追跡し、副作用をリアルタイムで報告するべく、シンプルで完全な情報システムを構築すること。

● 経済、産業、欧州の側面

  • 官民パートナーシップの形で戦略的医薬品の初期開発と生産に大規模に投資することができ、欧州レベルで(医薬品の)共有備蓄の構築を担当する、(米国の生物医学先端研究開発局(BARDA) をモデルにした)機関を欧州連合(EU)に設置すること。
  • 保健危機が発生した場合に、直ちに大規模に介入して医薬の初期開発と生産を支援することができる能力を備えた(加盟国が出資する欧州緊急投資基金の形で)緊急援助機関(IAU)を恒久化すること。
  • 欧州委員会(EC)と参加を希望する加盟国の専門家を集めた専任チームにより、戦略的医薬品やその他の医療機器を共同購入するという欧州の政策を恒久化すること。
  • 将来の交渉における加盟国とEUの立場を強化するべく、医薬品の供給に関する加盟国またはECが締結した契約の欧州公的登録簿を制度化すること。期限切れの契約は、条件付きおよび一定の期間を経た後、自由に参照できること。

● 住民の不信、ワクチン接種への課題

  • 行動とコミュニケーションの両方の観点から、ワクチン接種戦略の策定と実施において透明性への野心的で具体的なアプローチを採用すること。これは、利用可能なすべての情報の要約を提供する単一のポータル(例えば、サイトhttps:// vaccination-info-service.fr)など、シンプルで明確でアクセス可能な情報チャネルに依存することによって必要な信頼を回復するためであり、それにはワクチンとその効果、ワクチン戦略の条件とそのガバナンスに関連するものが含まれる。
  • ワクチン接種戦略の分野に関与するすべての人々からの利害益表明を義務付け、サイトhttps://www.transparence.sante.gouv.fr. などのイニシアチブの可視性を高めることにより、利益相反の防止・対策を行うこと。
  • 政治社会学や認知社会学など、人文・社会科学で得られた知識を活用して、ワクチン接種戦略をより適切に実施すること。したがって、ワクチン接種を受ける人の役割は促進要因として特定されており、ワクチン・アンバサダーは、公的人物および市民ボランティアで構成されるべきである。
  • 住民のワクチン接種の大幅改善に関しては、特権的アクターとしての医療専門家に委ねること。
  • サイト https://signalement.social-sante.gouv.fr のような画像で周知することで、「薬物の有害な副作用の可能性の監視」とそのシステムを強化すること。このサイトでは結果の要約が、ワクチン接種に特化したポータルに表示される。
  • ワクチン戦略において議会、市長含む地元の議員、仲介機関、とりわけ保健機関の役割を再確認すること。
  • 拙速や内在する不信リスクを回避する現実的なワクチン接種スケジュールを採用すること。ワクチン接種の第一段階が開始される2021年1月4日の日付を絶対視するべきではない。

[DW編集局+JSTパリ事務所]