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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領府
- 元記事公開日:
- 2021/01/12
- 抄訳記事公開日:
- 2021/03/01
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防衛・宇宙開発のための小型モジュール型原子炉の推進に関する大統領令
Executive Order on Promoting Small Modular Reactors for National Defense and Space Exploration
- 本文:
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2021年1月12日付けの大統領府による標記大統領令の概要は以下のとおりである。
本大統領令の目的は、米国の原子力エネルギー部門を活性化し、米国の宇宙探査プログラムを再活性化し、国防上の必要性に応じた多様なエネルギーオプションを開発するための重要な追加のステップを踏み出すことにある。この措置の下、米国政府は、国防・宇宙探査のための小型モジュール型原子炉の使用を含め、米国の技術覇権に向けて、原子力エネルギーの利点を最も効果的に利用するために、原子力関連活動を統括するものである。
米国政府は小型モジュール炉を含む先進的な原子炉技術を促進し、国防施設のエネルギーの柔軟性とエネルギー安全保障を支援する。防衛施設におけるエネルギーの柔軟性を高めるための商用リアクターの実証を行う。実証が成功した場合、国防長官は、国内の軍事施設において、この能力が施設のエネルギー要件の充足を強化または補完する機会を特定するものとする。
国防総省 (DOD)は世界最大のエネルギー消費組織の一つであり、1日あたり1,000万ガロン以上の燃料と、年間3万ギガワット時の電力を消費しており、その殆どが民間の電力網を通じて供給されている。米軍のエネルギー需要は、高エネルギーを消費する軍事システムをサポートするために、今後も増加すると予想されている。この関連で、原子力は国防能力を大幅に強化する可能性がある。
したがって、国防長官は、先進原子炉がDODの将来の宇宙電力需要を満たすことが可能か見極め、可搬型マイクロリアクターの試作機を運用し、原子力利用に関する将来の決定のための人員、規制、技術要件に対する代替案を分析し、宇宙原子力発電および推進技術の米軍利用並びに敵対国の宇宙発電および推進計画を分析するものとする。
ウランまたはプルトニウムを使用する原子力電源は、深宇宙探査および太陽光発電が実用的でない地域では不可欠である。小型モジュール型原子炉を地球から遠隔地に配備して運転することができれば、月、火星、その他の場所の持続可能な探査が強化される。このため、米国航空宇宙局 (NASA)長官は、2040 年までの有人およびロボット探査ミッションのための NASA の原子力システムの利用に関する要件を定義し、そのような要件の費用と便益を分析するものとする。
多くの先進原子炉のコンセプトでは、高含有率低濃縮ウラン(HALEU)を必要としているが、現在のところ米国内にはそれに対応する商業的濃縮能力は存在しない。このため、エネルギー省(DOE)長官は、防衛関連の先進原子炉で使用するHALEUを製造できる米国で開発された濃縮技術の実証を完了させるものとする。
国務省(DOS)、DOD、商務省(DOC)、DOE、およびNASA の各長官は、2030 年までの共通技術ロードマップを作成するものとする。本ロードマップは、潜在的な開発プログラムを記述し、実用的な範囲で、地上ベースの先進原子炉と宇宙ベースの原子力発電・推進の取り組みを統括するものとする。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]