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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領科学技術諮問会議(PCAST)
- 元記事公開日:
- 2021/01/12
- 抄訳記事公開日:
- 2021/03/02
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大統領科学技術諮問会議が「未来の産業」研究所の構想に関する報告書を公表
INDUSTRIES OF THE FUTURE INSTITUTES: A NEW MODEL FOR AMERICAN SCIENCE AND TECHNOLOGY LEADERSHIP
- 本文:
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2021年1月12日付の大統領科学技術諮問会議(PCAST)による標記文書の概要は以下のとおりである。
科学技術(S&T)における米国の世界的なリーダーシップは、未知の世界に真っ向から立ち向かい、予期せぬ事態に直面しても粘り強く取り組み、想像もできなかった事を実現するという先駆的な精神を反映している。それでも、特に人工知能(AI)、量子情報科学(QIS)、先進製造、バイオテクノロジー、高度通信ネットワーク(総称して未来の産業(IotF))において、国際競争の激化により、米国の指導的地位はかつてないほどの挑戦を受けている。米国はまた、特に知的リスクテイク、イノベーション、そして研究エコシステムの4つのセクター(業界、学界、非営利組織、政府)が生産的に相互作用する能力を阻害する過度の管理上・規制上の障壁を介して、自ら生み出した課題にも直面している。
PCASTは、これらの課題を機会と見なしており、その精神において、複数セクター協力のための革新的新パラダイムである「未来の産業」研究所(IotFI)を提案している。これは、現代の最大の社会的課題のいくつかに対処し、今後数十年にわたって米国の科学技術リーダーシップを確保するためである。これらの研究所は、2つ以上のIotF領域の交差する領域で研究開発を推進することにより、個々のIotFトピックに関する知識を向上させるだけでなく、それらが合流する新しい研究課題や調査領域を促進する。
IotFIは、複数の学問分野と米国の研究開発エコシステムの各セクターを、すべて同一の活発な組織内で関与させることにより、発見研究から新製品やサービスの大規模な開発まで、広範囲に及ぶ。柔軟な知的財産条件により、すべてのセクターの参加を促し、管理・規制の負担を軽減することで、適切な安全性、透明性、完全性、説明責任を維持しながら、研究者の創造性と生産性に要する時間を最適化する。IotFIは、組織の構造・機能に対する新しい創造的なアプローチの証明の場としても機能する。参加の拡大、労働力開発、科学・技術・工学・数学(STEM)の教育、米国の研究エコシステムのすべてのセクターに関与するための方法などである。究極的には、IotFIの成果は、科学技術における米国のグローバルなリーダーシップを維持し、生活の質を向上させ、将来の国家的・経済的安全を確保するのに役立つ。
この報告書では、IotFIの設計に資する枠組を提供している。これは、資金提供者による検討のための予備的なガイダンスとして、また参加を検討している人々の間での議論の出発点として役立つことを目的としている。
なお本文書では、IotFIのミッションとして次の7項目を挙げている。
- STEMおよび関連する教育における新しい知識の開発を、基礎から橋渡し・応用の研究開発の範囲にわたり、学際的かつ複数セクターに跨る協同作業を通じて加速すること。
- 自由な流れの知的探究と大胆な思考を奨励・促進し、主要な社会的課題に対処するための創造性と技術イノベーションを促進する環境を育成すること。
- 技術イノベーションの迅速な開発・展開のための枠組を設計・実装し、公共およびエンドユーザーの安全とセキュリティを確保しながら、将来の技術の効率的なプロトタイピング、規模拡大、応用を目指すこと。
- 将来の科学者、エンジニア、技術者、その他のSTEM専門家を養成するべく、教育プログラミング、業務ベースの学習、メンターシップ(指導)、研究フェローシップを通じてK-12(幼稚園から高校)教育、コミュニティカレッジ、専門学校、学部・大学院プログラムの学生やSTEM教育者を、地域および全米で関与させること。
- 組織の構造・機能への新しい創造的なアプローチ、参加の拡大、労働力開発、STEM教育、米国の研究エコシステムのすべてのセクターに関与する方法の証明の場として機能すること。
- 将来のSTEM労働力の構築を支援するべく、対面および仮想の教育、体験ベースの学習プログラムを企画・提供し、以前のSTEM経験に関係なく、すべての教育レベルの個人に機会を提供すること。
- 将来の技術の責任ある、倫理的で、公平な考案・使用のための枠組、政策、実践の主要な担い手としての役割を果たすこと。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]